代表取締役 阿部 義一

株式会社ファーストリング 代表取締役 阿部 義一

代表取締役 阿部 義一

株式会社ファーストリング
設立 2006年8月1日
事業内容
  • 飲食店経営
     東京ドラム缶酒場 カルビ道場
     海鮮炉端 串揚げ酒場 こまち
会社HP http://www.firstring.jp/

彼女とたこ焼きにハマった高校時代

飲食業界に入ったきっかけは、高校時代の彼女かな。
真面目にバイトをするような性質でもなかったんだけど、
当時、彼女に世話になっていて、「お前も少しは働けよ、」って言われたんです(笑)
彼女の親戚が、当時関東圏で一世風靡していたたこ焼きチェーンのフランチャイズの
オーナーということもあり、バイトとしてたこ焼きを焼くハメになったのです。
これが、意外に面白かった。
彼女とたこ焼きに魅せられて、バイト一筋で高校生活の最後を過ごしたんですよ。
高校卒業後の進路はこのたこ焼き屋の店長でした。

その後もガテン系や日サロ、リゾート施設に住み込みで働くなど好奇心に任せて
色々な仕事をし、いわば放浪生活のような過ごし方をしていたんです。

水商売の厳しい縦社会。目標を一つずつクリアして上り詰めた

夜の世界に憧れて、水商売に飛び込んだこともあったな。
興味本位で舞伎町のバーのオープニングスタッフになったけれど、
この世界の裏側は衝撃的でしたね。
水商売というと、一般的には軽い世界だという印象があるかも知れないけれど、
ここはものすごく厳しい縦社会なんですよ。
体育会系の部活や地元の先輩との関係なんて目じゃない。

例えば、上司がビルの8階から1階までエレベーターで降りる時、ボタンを押して
「どうぞ」と上司を乗せたら、僕たち下っ端は上司のカバンを持って階段で降りるんです。
それで、上司が1階に着いてエレベーターの扉が開いた時、扉の前にいて
「お疲れさまでした!」と迎えないといけない、なんてルールが存在している。
もう死ぬ気で、階段を降りるというよりも飛び下りているという状況だったな。

このとき思ったのは、下っ端は最初だけだ、ということ。
はじめはこき使われてみじめな大変な思いもするだろうけど、
何年かすれば自分が上になる。
苦しい思いだけして辞めてやるものか、と思いましたね。
そのために手に届く目標を設定するということをしていました。
遠い先を見ると辛くなってしまうから、
「とりあえずここまでやろう。ここまでやってから辞めるかどうか決めよう」
ということの繰り返し。

気付いたら、自分で小さな目標の設定を重ねていけるようになっていました。
無理しないように、小分けした目標を目指していく。
手に届く目標を設定して一つ一つ確実にクリアしていくと、
結果的に大きな成果が残るようになるんですよ。

24歳でバーを開業

24歳の時、歌舞伎町のバーでマネジメント力が求められる
エリアマネージャーとして働いていました。
まぁ、現場入りたくないとか、報酬がいいとか、そんな不順な動機で得た
ポジションだったのですが、働いてみると悶々とした感情が溜まっていったんです。

部下を管理する仕事だから、下の人間が育つとやることが無くなる。
目指すべき上のポジションもなく天井に突き当たったような気分で、
このまま組織にいたら自分が腐っていくんじゃないかなと感じていました。

これからどうしていこうかと思っていたちょうどその時、
オーナーから、独立してみない、と声をかけられ、小さなバーの経営者になりました。

歌舞伎町で、バーやホストクラブを出店しては引っ込めてを繰り返すうちに、
資金も貯まり、人も増えたので、30歳で株式会社ファーストリングを立ち上げ
本格的に飲食業界に参入しました。

沖縄料理店での成功と挫折で“人間”を武器にしようと再認識

ファーストリングは、初めは沖縄料理店でスタートしました。
沖縄ブームの追い風に乗って好調の時期もありました。
それまでも、自分がよく知っていてやりやすいという理由で
歌舞伎町に出店してきたのですが、沖縄料理が歌舞伎町になじまなかったんです。
食材にもこだわり本格志向を目指していたのですが、
歌舞伎町ではそういうことはあまり求められていません。

そして、『東京ドラム缶酒場 カルビ道場』と『海鮮炉端 串揚げ酒場こまち』も含め
3業態でやっていたのですが、肉・魚・沖縄食材と、管理方法や業者さんとの
かかわり方も全部違うので、無理が生じてきました。

当社は従業員がみんないきいきと働いていて、職場の雰囲気もすごくいいんです。
だから、辞めるのは心苦しくて悩みましたが、将来性を考え、
当社の強みである“人間”を武器とした業態が合っているのではないかと思い、
沖縄料理店をたたみました。

自分に合った方法で

今の情報化社会では、成功している企業のやり方や考え方が、
ネットなどを通じて簡単に見られます。
そうすると、「この通りにやったらうまくいくんじゃないか」と錯覚してしまうんですよね。
でも、自分たちに合ったやり方でないとダメ。

飲食業界もかつてのIT企業のように急成長をしている企業がかなり増えてきました。
一昔前は大手チェーンが独占していた市場も今は新興勢力のパワーに押されています。
僕もこの業界にいなががら最近の経営者の方の商売の上手さには関心させられます。

しかしながら価値観や満足するポイントは千差万別です。
莫大な資産を生み出しガンガン会社を大きくするのも、1つ1つの店にこだわりを持ち
コツコツやるのも、どちらが正しくどちらが間違っているということはありません。
自分が求める方向に進めば良いだけです。

僕は人との関わり合いを大切に考えます。家族、仲間、取引企業、そしてお客様。
関わる人が楽しめる店作りがモットーです。
いくら儲けても家庭は冷え切っていて、仲間ともドライな関係ではたまらないですね。

テーマカラーはオレンジ

暖色が好きです。
温かいか冷たいかというと温かくありたいし、
明るいか暗いかというと明るくありたいですから。
中でもオレンジがいいですね。
目立ちたがり屋だし(笑)。

学生へのメッセージ

手に届く目標でいいから確実にクリアしていこう。
その先に夢の実現があるはずです。
僕は何度か富士山に登ったのですが、一気に頂上を目指そうとすると
気が遠くなり萎えてきますが、6合目で休憩できる、6合目の次は7合目で
休憩できると思うと頑張れます。
そうやって、手に届く目標を設定して、一つ一つ確実にクリアしていけばいいんです。

そして、夢を描くのに早いも遅いもありません。
それに、描いた夢に、大きいも小さいもないんです。
夢とは、叶うか叶わないかではなく、“叶える“と強く志し、
それを常に追い求め、追い続けることなのです。
夢を追い求めることで力を身につけてください。