代表取締役社長 長澤 眞也
設立 | 1993年9月 |
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事業内容 |
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会社HP | http://www.wellness-online.co.jp/ |
私が転職を決めた理由
現在は経営者という立場にありますが以前は大手百貨店で勤めていました。
この会社は全国に関連会社や店舗を持つ企業。
次第に転勤を求められるようになりました。
家から通える場所に勤めることは無理だと言うのです。
しかし私は家族から離れなければならない転勤を必ず避けたいと考えていました。
それは、私の長男が重度の障害を抱えているため。
障害のある子どもを育てるには両親の力や地域の理解が必要です。
妻だけでなく私もきちんと長男の子育てに関わるということを重視したいと考えているのです。
転勤をしてまでその会社に留まるよりも長男を育てることを優先したい。
そう思い転職を考えていたところ、ヘッドハンティング会社から紹介されたのは花の商社。
転勤が無いという条件は満たされていましたし、
その会社の社長が直接私に「一緒に働こう、」と言ってくれたのです。
転職し、この会社で働くことに決めました。
経営者になるという道
新しい会社では、従来には例のない産地直送の花の通信販売事業を立ち上げました。
花は市場に流通させることが一般的。
産地直送で花を仕入れることのできるルートづくりには苦戦しましたね。
なんとか頼み込んで、やっとルートを見つけることができたころ。
会社の経営が難しくなり社内にも不穏な空気が流れるようになりました。
私が取引先に頼んでやっと確保していただいた生産ルートでは
もう花の種まきがはじまっていました。
会社の経営状況が悪化しているからと言って断ってしまえば大きな迷惑をかけることになります。
取引先に迷惑をかけないよう、知り合いにこの事業を引き受けてくれないかと頼みました。
そこで帰ってきた返事は、「自分でやってみたらどうでしょうか、」というもの。
経営者になる、という選択肢が増えた瞬間でした。
あなたが表現すれば、いいじゃない。
取引先に迷惑をかけたくないという気持ちは大いにありましたが、
経営者になるとすぐに決断できたわけではありません。
様々な思いが巡り、とても迷いましたね。
とりあえず家族に相談してみよう、と思ったのは書店に立ち寄り、
『小さな会社のつくりかた』という本を手に取った時でした。
そこには起業するための絶対条件として、「家族の理解」とあったためです。
妻には反対されるだろうな、経営者になればリスクも忙しさも増すだろうし、
子育てにしっかりと時間をかける必要があるし…。
そんな気持ちで妻に相談したのですが、彼女はあっさりと、
「やってみればいいじゃない、」
と言ってくれたのです。
「独立して、この子が生きている意義を、この子に代わってあなたが表現すれば、いいじゃない。」
たくさんのことを教えてくれた長男のために、私は起業に踏み切ったのです。
利益よりもまずは「人として優しい」集団を
障害のある子どもって、とてもピュアなんですよ。
いつでもどんな態度をとられても、ニコニコと笑顔を見せてくれるのです。
私は頑張っていい学校に入っていい会社に入って出世して、ということが良しとされる環境で育ってきたのですが、
長男のこのような姿に触れると、人として本当に大切なことってこういうことなのか、と考えさせられるのです。
そして、障害のある長男に優しく接してくれる方に出会うと、世界の様子が違って見えてくるのです。
まるで無機質な街が「コントラストを描く」ように、人の暖かみという彩りを実感することができました。
だからこそ、私の会社は「人としての優しさ」を持った人たちの集団にしようと考えました。
利益を上げることは勿論必要ですが、それより優先したのが会社としての暖かさ。
花という商品にもそんな意味を込めています。
弊社ではいくらスキルの高い仕事をしても、ありがとうの気持ちや思いやりを持てない人を評価することはありません。
利益よりもまずは「人として優しい」集団を。
このような会社を保つことは難しいことかも知れませんが、
人として本当に大切なことを訴えるために、この会社づくりに挑戦していこうと考えています。
今後は
「人として優しい会社をいつまでも」
「人として優しい」集団を築き上げることには困難がつきまとうでしょう。
いくら経営状況が悪化しても、リストラなんてできませんしね。
それでもこんな風土の会社を成り立たせ、
「優しい」ことを優先しても会社は成り立つのだと世の中に示すこと、
そしてより良い世の中を築くひとつの原動力となることを目指したいですし、
こんなカルチャーを私が引退した後も受け継いでほしいと思っています。
座右の銘
「明るく元気に前向きに」
いつもこの言葉通りにしていると、本当に上手くいきますよ。
マイナス思考でも苦しいときでも、とにかく明るく元気に前向きでいれば、
良い方向へ向かうのです。
「君がめちゃくちゃにした人生が僕たちの宝物」
ことばは悪いかも知れませんが、
私の人生は私の長男によって「めちゃくちゃに」されたでしょう。
しかし、長男のおかげで、大きなものを学ぶことができました。
自分の人生は、長男のおかげでとても充実したものだと言えるのです。
めちゃくちゃにされた人生を良かったと言えるのは、素敵なことですね。
就職活動生へメッセージ
「良い」会社ではなく、「ぐっと」くる会社を見つけるようにしてください。
周囲に何と言われようと、自分にとってのいい会社を見つけてください。
自分にぴったりの会社は必ず見つかりますよ。