代表取締役 佐野 敏夫

株式会社アドコム 代表取締役 佐野 敏夫

代表取締役 佐野 敏夫

株式会社アドコム
設立 1990年6月8日
事業内容
  • 総合広告代理業 出版業
  • 有料職業紹介事業
    (許可番号/13-ユ-300999)
会社HP http://www.adocom.jp/

会社設立から来年で20年。

一口に20年といいますが、他の人が経験しないような出来事、
数々の困難と挫折がありました。

節目の年を迎える今、大規模なプロジェクトに参加することになり、
社全体が大きく動いています。

アドコム設立までの経緯

新卒で某出版社に入社しました。

週刊誌の編集部に配属になり、誰もがその名を知る作家や画家・漫画家の
コラムや連載小説を担当。
メールも携帯もない時代だったからこそ、作家と密な人間関係を築くことができ
今思えば大変貴重な経験をさせてもらいました。

編集部から広告部、広告部からメディア開発部(広告部兼任)へと、
何度かの異動の経験がなければ広告代理店として独立できなかったわけですから、
人生はおもしろいものです。

会社を設立したのはバブル期の平成2年。
まだ私は出版社に在籍していたので、知人に経営は任せていました。
その後バブルが崩壊し、定年対象年齢の引き下げと管理本部長の辞令が下され、
私自身はリストラ対象ではなかったものの

「このまま社に留まれば、広告部時代の人脈が生かされないのでは?」
と思い退社を決意。

自分の会社はもっていましたが、40代で出版社を辞めるというのは想定外でした。

このサイトに登場される多くの社長と異なるのは、大きなビジョンがあって
独立したというよりは、勤めていた会社に背中を押されたということでしょうか。

仕事も女も追いかけると逃げていくもの

少しふざけた表現ですが、これが実感なのです。
起業してからの数年間は、必死で仕事を追いかけました。

「一に辛抱二に我慢、三四がなくて五に忍耐」

会社経営とはそういうものなのではないかというのが、私の持論です。

サラリーマン時代の私は、せっかちで負けず嫌い、
身体も声も(おまけに態度も)大きく、よく喧嘩をしていました。

ところが、独立するとそうはいかない。

「一に辛抱、二に我慢…」経営者の宿命かもしれません。

初めて死と向き合う

2001年の春、心臓のカテーテル手術を行いました。
暴飲暴食がたたったのでしょう、100キロ近くあった体重が2週間で10キロ痩せました。

周囲の心配をよそに「良いダイエットになった(笑)」と、
退院後はまた元の食生活に戻り、生活習慣を見直すこともしませんでした。

そして、2006年の春、癌の告知を受けたのです。舌根癌でした。

<<手術前、当時の体重は100キロ!!>>

<<手術前、当時の体重は100キロ!!>>

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<<再手術を終えた直後、管が痛々しい>>

<<再手術を終えた直後、管が痛々しい>>

誰にでも死は訪れる。

それを、自分のこととして意識したのは初めてでした。
手術を前に「死」と向き合い、自分の人生を振り返りました。

当初放射線治療をしたのですが、口の中は口内炎だらけになり、食事はおろか唾を飲むのも辛く、
常に口の中が火傷をしているような感覚に見舞われ

「治すための治療のはずなのに、入院してから、どんどん具合が悪くなる」
思わずそう言いたくなる程、過酷なものでした。

食欲がなくなり、日を追うごとに体重が落ちていきました。

8月に23時間に及ぶ大手術、術後更に放射線治療をして、10月にようやく退院。
4か月の入院で30キロ痩せましたが、もともと体力があったため回復が早く、
退院直後から職場復帰できました。

ほっとしたのもつかの間、昨年夏、再び舌に違和感を覚え検査をしたところ、
再発が認められ11月に再手術を受けたのです。

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二度の手術で舌の2/3を失い、唾液腺も切除され、
今では一切固形物が食べられません。

癌と共に生きることで、思ってもみなかった風景が見えてきました。
この経験こそが、私自身はもとより、会社にとっても大きな転機になったのです。

今までは、「佐野あってのアドコム」という印象が強く、社員も私に頼りっぱなしでした。

私が生きるか死ぬかの状態になることで社員の間に
「私たちが会社を守らなくては」という意識が芽生えたと、

後々、取締役から教えてもらいました。

<<二度の手術で40キロ近く体重が落ちました>>

<<二度の手術で40キロ近く体重が落ちました>>

いいことも、悪いことも倍返し

百年に一度の大不況といわれる昨今、広告業界も大きな打撃を受けています。

そのような時、10名規模の会社では考えられない、
ビッグプロジェクトが動き出しました。

JR辻堂駅北口、都市再生事業「湘南C-X」の施設構想の一つとして、
私たちの提案した、アニメーション文化の発信拠点となる複合施設
「湘南アニメパーク(仮称)」が正式に採択されたのです。

子供を対象としたアニメの情報発信基地として、将来のアニメーター育成も担う
「子供向け体験学習施設、キッザニア」のような施設で、地域住民はもちろん
内外からの観光客も呼び込みたいと考えます。

今回この企画・運営を、藤沢市から任されることになりました。

人間には無限の可能性がある

いつまで私が元気でいられるか、正直わかりません。

唾液腺を切除しているので口の中が乾燥し、夜も2時間置きに目が覚め、
ふと再発や転移の不安が頭をよぎることがあります。

二度の癌手術を受けた私が、こうして生還できたということは、
なにかしらのお役目があるからだと思うのです。

今回のような大きな仕事に巡り合えたのは、
「もう少し頑張れ」と誰かに言われている気がしてならないのです。

ピンチが続くと、必ずチャンスが訪れる。

私は自分の身体を通じて、そのことを実感しました。

「治療に専念したほうが」という人もいるかもしれませんが、
このプロジェクトが何よりの薬になっているような気がします。

今の若い人が3年未満で辞めていくという話をよく聞きますが、
「そんなに辞めたくなる程、仕事をしたのかい?」と逆に私は問いたい。

私も出版社に勤務していた時は、ウマの合わない上司と衝突したこともありました。

どこへ行っても、人間関係の問題はついてまわります。

「逃げるな、飛び込め!」。

就職活動中、あるいは就職してからも、自信を失ったり、辛い経験をすることは誰でもあります。
でも、その経験が後の人生に大きな影響を及ぼし、人として成長させてくれるのです。

人間には、無限の可能性があります。
自分を信じられない人に、他人を信じられますか?

自分の可能性を信じ、これからの人生を切り拓いていただきたいと思います。