代表取締役社長 山﨑 敦義

代表取締役社長 山﨑 敦義

設立 2011年8月30日
事業内容
    • LIMEX及びLIMEX製品の開発、製造、販売
会社HP http://www.tb-m.com/

ストーンペーパーの可能性

ストーンペーパーと出会いは今から約10年前になります。
木や水を使わずに紙の代替を台湾のメーカーが製造していると知り、
そのコンセプトに惹かれ現地に赴きストーンペーパーの原理、現状のビジネスを学びました。
名前の通りストーンペーパーとは原料に木材チップやケナフなどを一切使用せず、
石灰石から抽出した無機鉱物粉末から作られます。

通常であれば大量に水を使用し木を伐採して製造する「紙」や、
石油から製造される「プラスチック・フィルム」の代替となる素材を製造する、
エコロジーで且つエコノミーな事業です。
世界中で問題となっている水資源・石油資源に大きく貢献できる大義ある事業であると確信し、
日本に普及させるべく輸入元となりました。

日本は島国で海に囲まれていますので、水不足という言葉は聞きなれませんが、
世界的に見れば水資源の枯渇はかなり深刻な問題です。1トンの紙を作ろうとすると
100トンもの水を使うと言われ、内陸の国では紙は大変貴重なものとなっています。
また原料の石灰石は世界中に豊富にあることはもちろん、
天然資源の乏しい日本で鉱物資源の中で唯一100%自給可能な素材です。

製造方法を確立し精度・品質を上げ、生産コストを下げればエコロジーだけでなく、
エコノミーとしても世界で勝負出来る自信がありました。
ストーンペーパーの用途としましては、耐水性に優れているので屋外での使用や、
ショッピングバック等使用用途は様々です。
またプラスチックやフィルム製品の代替としても使用できます。

ストーンペーパーのエコロジーとエコノミーの可能性は
化学に詳しくない方にも分かりやすいため、
業界紙に掲載したところ、商社や広告代理店等、反響をたくさん頂き、
改めてこの素材の商品力がすごいなと思いました。

しかし、反響の割には思ったより売り上げが伸ばせませんでした。
原因は明確で、紙の厚みが均一でないため不良品が多く出てしまうこと、
印刷機器に適していなかったりと、普通の紙に比べて比重が重くなど様々な問題がありました。
何としてもこの素材で勝負したいという思いは強くありましたが、輸入を続ける限り、
この素材を日本で普及させることはおろか、世界と勝負するビジネスに育てるのは難しいと感じていました。

そこで元日本製紙株式会社 専務取締役で現TBM取締役会長(角 祐一郎)に相談したところ
背中を押してくれて、自社開発に踏み切ったんです。
まさか自分がストーンペーパーの工場を造るとは思いもしませんでしたけど、
決意が高まっていきましたね。

石から生まれた革新的新素材“LIMEX(ライメックス)

先ほど話しました、弊社会長 兼 開発責任者の角を筆頭に、自社で開発に取り組み、
ついに完成したのが石灰石を主成分にした新素材“LIMEX(ライメックス)”です。

LIMEXから紙やプラスチックの代替製品をつくることが可能です。
プラスチックの成形品も製造可能です。弊社最高顧問の野田一夫先生より
商品名のアイデアを頂き、電通未来創造グループの方々にロゴを作成して頂きました。
LIME(石灰石)+X(未知数とか化けるという意味がある文字)を合わせてLIMEX。
ロゴは石灰石がXの形に割れたものをデザイン化しています。

製造方法は全く新たな独自の方法で、ストーンペーパーとは異なり、
厚みが均一で比重が軽く、印刷適性に優れています。特許も取得し、
宮城県白石市に経済産業省の補助金を頂き、工場を建設。第二工場も2020年迄に、
宮城県多賀城市に完成予定です。世界に向けて確実に踏み出せる準備が整ってきました。

2016年、LIMEX名刺を発表、アメリカ法人を設立して、
米国シリコンバレーでベンチャー企業を育成する3大アクセレーターの1つである
Plug and Playで初の年間を通して
「世の中に最も社会的影響を与える企業-ソーシャルインパクトアワード」を受賞しました。

また、凸版印刷と、環境素材LIMEXの特性を活かした用途拡大に向け
共同開発を進めることで基本合意を締結。
2017年は、ラクスルと協業を開始して、LIMEX製品を拡充していきます。
さらに、本格的なグローバル展開に向けて、日揮、サウジアラビア国家産業クラスター開発計画庁と
サウジアラビアでのLIMEXの開発及び製造活動に向けて基本合意を締結、
中近東でLIMEXを普及させることに挑戦していきます。

今、地球上では10分間の間に野球場とほぼ同じ規模の森林が伐採されています。
今、世界の約7億人が、水不足の状況で生活しています。

目に見えないことを実感することは難しいかもしれませんが、
LIMEX(ライメックス)が様々なシーンで使われることで
ちょっとでも意識を持ってもらえたら嬉しいですね。

本当に大変だった時期もありましたが、多くの方の支えがありここまでやって来ました。
必ずやり遂げるべく邁進しています。

時代を架ける橋

20歳で起業し、様々な事業を見て、経験してきました。
しかし、自分がこれだ!という仕事に出会うことはありませんでした。
30代になり、一度きりの人生で自分に何が出来るのかを考えていた時に、
旅先で素晴らしい歴史的な建造物をみました。

中世の時代に100年以上もかけて建設された建物は、
その完成を見届けることなく世を去った職人たちの手によって成された大事業でした。
そんな先人たちの偉業に感銘を受けた私は、
自分も、100年後も続き、人類に貢献できる事業を興したいと強く想いました。
ストーンペーパーと出会った時は、その答えが見つかった感覚でしたね。
当社の社名「TBM」は、時代の架け橋となる会社にしたいとの想いを込め、
Times Bridge Managementの頭文字を取って命名したものです。

大切なこととは何か

私にとって、LIMEXの自社開発に踏み切ったことが人生の転機となりました。
決して順風満帆ではなく、時期がリーマンショックの後だったこともあり、
資金調達に苦労し、私財もつぎこみました。
しかし、絶対に諦めることはしませんでした。
『名もない日本のベンチャー企業が世界に挑戦し、それが同時に世界の環境問題解決にも繋がる。』
私は必ずやり遂げると決意しました。

これからの課題もたくさんあります。
まずはパブリックな会社として市場から評価される会社でなければならない。
そしてきちんとリスクマネーを調達するなど、足下から地道に事業展開をしていき、
きちんと評価される会社を作り上げることが必須です。

世界を見ると日本の企業がいかに信頼されているかを思い知らされます。
それは大企業だけでなく、我々のようなベンチャークラスでも同じ。
諸先輩方が築き上げてきた世界に対する日本の信頼を、
我々も後世にも繋いでいかなくてはなりません。

世界に出ても堅実に、誠実にビジネスを
していかなければいけないと自分に言い聞かせています。

成功とは何でしょうか? 幸せとは何でしょうか?
お金を儲けることでしょうか? それとも、充実した日々を送ることでしょうか?

何をもって成功なのか、まずは目指すものをきちんと自分の中で確立すること。
大きなことを為す時にはその倍の努力と苦悩と、大きな責任を背負うという覚悟が必要です。

謙虚、感謝、素直
この3つを常に念頭に置いています。
謙虚に接し、素直に相手の意見を聞き、感謝する。
責任を果たすための最大の武器であり、
責任を果たせた時、本当に感動し、また感動を与えることが出来ます。

頑張る人の周りには必ず支えてくれる人がいます。
私もたくさんの方々に応援を頂き支えられてきました。
その度に感謝の気持ちや謙虚さを忘れないようにしようと心に刻んでいます。

社会人として大事なことは資格やスキルだけではありません。
感謝の気持ち、謙虚さ、素直さを忘れないこと。
そして感動できる心を持ち合わせていることが一番大事だと私は思います。
どんなビジネスも、結局は人間同士の仕事です。
ビジネスマンである以上に、まず人として磨きをかけていってください。
若い力の皆さんを応援しています。