代表取締役 ケイダー・ヨアブ

代表取締役 ケイダー・ヨアブ

設立 2013年6月10日
事業内容
    • 医療機器及び電子関連機器の販売
    • 医療分野に係るマーケティング及びコンサルティング業務
会社HP https://www.smartheart.co.jp/

イスラエルの教育と起業文化

私はイスラエルで生まれて育ったのですが、
イスラエルの教育文化は日本のものとは少し違います。
もちろんどちらの国も教育は非常に重要で力を入れていると思いますが、
日本とイスラエルではその方法が違うのです。

日本の教育が、教室の生徒全員に同じやり方で教えるものであるとすれば、
イスラエルでは、それぞれが自分に合った方法で勉強するようにと教えられます。
母親からも、「ただ先生の話を聞くのではなく、どんどん質問しなさい」と言われてきました。

教育にとどまらず、人生のマネジメントの仕方自体が、
イスラエルと日本とでは大きく違っているように思いますね。
つまり、「自分のやり方で」という考え方が実社会においても息づいているのです。
ビジネスに関しても、イスラエルでは起業家になる人間が非常に多くて、
国自体が「Start-up Nation(起業国家)」とも呼ばれているほどです。

私自身も大学を卒業し、留学先だった日本でビジネスライフを始めてから、
たくさんの新しいものを世に送り出してきました。
この会社も、私にとっては自分なりの創造のための場であって、
マネジメントにはあまり興味がないくらいなんです。

革命的なテクノロジーを提供

私のビジネスのキーワードは「革命的なテクノロジー」です。
いつもユニークで新しい技術を提供しようと心がけています。

日本で最初に始めたのは医療系の会社で、歯のインプラント技術を扱う会社でした。
この技術の革命的な点は、歯を移植する際に必要な骨に穴をあけるという
非常に複雑な手術を、オンラインでモニター画面を見ながら行えるようにした点です。
実はこれは元々、軍事分野でミサイルを操作するために開発された技術なのですが、
それを医療の分野に応用したわけです。

同じ技術を使って次に始めたのが「電子ペン」のビジネスです。
これもオンラインのインターフェースを活用できる技術で、
この電子ペンを使えば、紙に書いたものをそのままコンピュータに取り込むことができます。
この事業はかなり成功し、現在は中国で販売されています。

そしてその後、医療分野に戻って立ち上げたのがこのスマートハートジャパンというわけです。

医療分野にもIT革命を起こす

インターネットやモバイルの技術が普及して、私たちの生活は何から何まで変わりましたよね。
マスメディアも激変して、新聞は全部インターネットで見られるようになりました。
SNSのサービスも急成長していて、今は誕生日のお祝いもFacebookでする時代です。

あらゆる分野がIT革命によって変わったわけですが、
ある1つの領域だけは未だにその革命が起こっていません。
それが「医療分野」です。
私たちが今挑戦しているのは、未来のためにこの分野でプラットフォームを築くことです。

当社商品を例にとって説明しましょう。
心臓病は今や世界の死因のトップを占めており、
日本でも癌に次いで主要な死因第2位となっています。
現在では心臓医療の技術も発達し、心臓をまるごと取り替えられるような
最新技術も開発されていますが、それでも多くの方が心疾患によって亡くなっているのです。

統計上、そのほとんどの方が家での発作によって亡くなられているのですが、
これは異変を感じてから病院に行こうと決断するまでに時間がかかり、
その間に手遅れになってしまうからです。
夜中に少し具合が悪いからといって、すぐに病院に行こうとはなかなか決断できないですよね。

「スマートハート」の技術はこのタイムロスを解決してくれるものなのです。

「スマートハート」で迅速な診断を

「スマートハート」で使われているのは病院の心電計とまったく同じ技術です。
それが自宅で、しかもひとりで簡単に使えるように設計されています。
ポイントは、通信機能が搭載されており、測定したデータがスマートフォン上の
アプリですぐに見られるようになっていることです。
このデータをかかりつけのお医者さんにメールで送ることで、
その時の症状を診断をしていただくことができます。

もしかかりつけ医がいない場合には、フィードバックサービスをご利用いただければ、
イスラエル本社にある24時間対応の遠隔医療センターから
10分以内で診断結果が送られてきます。
「スマートハート」があれば100%命を助けられるとまではいえませんが、
イスラエルの研究ではスマートハートを使っている方は使っていない方に比べて、
死亡率が減少したという統計結果が出ています。
このようなフィードバック機能を持つ商品は今のところ世界にこれだけで、
未来の医療のひとつの形として提供しています。

日本はこういった未来の医療を育てる場として、非常に面白い土壌だと思いますね。
インターネットやスマートフォンが広く普及していますし、
今後の高齢化社会に向けて、これから医療はますます必要とされてくるはずです。
自宅での医療を望む方も多くなっていますし、
私たちの考える医療のあり方が広まっていくことを願っています。

医療革命の一端を担いたい

心臓は体にとって最も重要な器官の1つなので
まずそこをサポートするサービスから始めましたが、
今後は他の部分についても同じように、自宅で測定して送信できるサービスを
提供できるでしょう。
たとえば体脂肪率や血圧など心疾患にもかかわる検査、それから尿検査や
超音波検査などもシンプルで簡単に使える技術としてお届けできるはずです。

こういったものは、ほんの2~30年前には病院にしか置けないような
大きな機械だけが備えていた機能です。
それが、現在では自宅で簡単に使えるまでに改良されたわけですから、
これからの医療も、技術の変化に合わせてどんどん変わっていくに違いありません。
私たちは技術面でもサービス面でも、その変革の一端を担っていきたいと考えています。

もちろん私たちだけの力ではできないので、
さまざまな企業とパートナーシップを結びつつ進めていくつもりです。
私の予想では、他の分野で起きた革命と同じように、
すぐに大きな変化となって現れてくるのではないかと思います。
5年後には、病院に通う人はもう減っているのではないでしょうか。
それによって、人々の生活の質自体を向上させることが私たちの目標です。

失敗した経験に価値がある

将来起業したいという学生の皆さんには、
「失敗から学ぶことが大事」だとアドバイスしたいです。

イスラエルでは、会社を作って例えそれが失敗したとしても誰も問題だとは考えません。
「そこから何かを学ぶこと」が大事だからです。
むしろ、失敗をした分経験を積んでいるわけですから、
それはアドバンテージにもなり得ます。

日本では、失敗を恐れるような空気が強く感じられるのですが、
私はその失敗に対する恐怖感をなくせるような土壌になればいいなと思います。
もし最初のビジネスが失敗したとしても、その次に成功する可能性は十分にあります。
私も今日は成功した話ばかりお伝えしましたが、
その陰で上手くいかなかった経験も随分してきていますからね。