代表取締役社長 吉本喬美

代表取締役社長 吉本喬美

設立 1970年4月1日
事業内容
    • ストレンゲージ・荷重・変位・トルク
    • 振動などのセンサー、並びに 光学機器・メカトロニクス機器
    • エレクトロニクス機器の製造・販売
会社HP http://www.unipulse.com/jp/index.html

好きな事にはとことん没頭

子供の頃は、ただひたすらにアマチュア無線を触っていました。
他にもラジオなどの機械を壊したり、直したりとか。
今はもう携帯電話が世界に普及していますが、
私の頃は大きなアンテナを自分で建てて
日本全国、あるいは外国のアマチュア無線家たちと通信をしていた時代です。
その中で私が好きだったことは、送信機や受信機を造ることでした。
そのため勉強が嫌いで、大学に入ってもその癖は治りませんでした。
遊んだり、ジャズを聴いたり、何より友達付き合いも面白かったですから。

様々なことに夢中になっていた私は就職活動をせず、
その結果就職は出来ませんでした。
結果、縁故で三菱電機に入ることができたのですが、
自分の希望する職場ではなかったので会社を辞め、
アルバイトをする日々を過ごすことになります。
そんな時でした、知り合いの方からのお誘いで20人ほどの下請け工場に入ることになりました。

そこで初めて「社会はこういう風に回っている」のだと、知ることになるのです。
それから必死に仕事を覚え、結婚し家庭を持つようになりました。

娘の誕生と当時に起業

娘が生まれた、そんな時でした。
漠然とこのまま働いているのはどうなのか、と考えるようになります。
それから何人か友人を集め、ユニパルスを起業しました。
事業は前にいた会社に似たことをしていけば大丈夫だと、そう思っていたのです。
しかし、組織から離れると仕事は途端になくなりました。
お金になることはなんでもしました。

ただ結局は下請けの仕事でした。
「あれを作れ、これを作れ」と一方的に要求され、
私の意思がそこに入ることはないのです。
このままでは前の会社と同じになってしまうと感じた私は、
自分の造ったもので会社を成り立たせたいと、
試行錯誤を繰り返しすることになります。
そういった中で、1つ、2つと独自の物が評価されて経営が安定するようになってきました。
何とか会社は潰れずにすみました。
運が良かったのです。
周りを見れば、同じ境遇で潰れてしまった会社は多くありましたから。
それから44年、今もユニパルスは健在です。

そもそも私は子供の頃から起業することを考えておらず、
電気関係の工場で働きたいと考えていたのです。
それが実現しました。
予想以上の形で。
現在は小さいながらも、潰れることの心配をしなくていいほどの優良会社になりました。

かざらないことが昔からのこだわり

こだわりは、特にありません。
強いて言えば、「かざらないこと」ですね。
自分は出来るんだと偉そうにしたり、自分を馬鹿にしたりなどしないということです。
出来ないことはできないと、周りに話す。
そうでないとそれが出来るようになるまで、勉強しませんから。

大手企業に入る学生の皆さんで、
働いていい給料が取れればそれでいいと思っている方が大勢いると思います。
それに比べ弊社は、勉強して苦しい思いをすることも多いです。
それでは誰も来てくれなくなってしまうかもしれませんが、
それでも自分を磨いて技術屋になろうと考えている人は弊社で伸びると考えています。

弊社はとにかく開発や技術を優先しています。
技術部門が良いものを作り、営業部門がしっかりと販売する。
これが基本となっています。
「信用と信頼」「技術の高さ」が弊社の強みです。
それがお客様との繋がりになっています。
また、かざらないこと。
これもまたお客様と私との深い繋がりの一つですね。

根っから無精者の私としては、
コストダウンや極端な技術競争にさらされる分野の製品は苦手です。
狭い市場でオンリーワンの製品を創ることを目指しました。
そこには競争がありません。

うちでしかできない仕事

この世界には「理由の分からない運」が存在します。
今までの積み重ねがあってこその、運なのかもしれません。
しかし、実力のない私が会社を立ち上げ苦しい状態から、ここまで大きくできたことは
その理由の分からない運を持っていたからだと思っています。
これだけは誰にも真似できないことですから、すごい強みです。

また現在はロボットを動かすためのモーターとコントローラーを開発しており、
展示会で発表する予定です。
柔軟性が非常に高く、面白いものになります。
市場が求めるもの、それをいつまでも追及し続けていきたいですね。

技術屋でいること

起業をしてから20年ほど経った頃、上場するお誘いがありました。
でも実際にやってみて感じたことは、
「自分の会社で自分の会社ではなく、株価のために働き自由な発想が出来なくなってしまった」
ということ。
そして、私は上場を廃止しました。
弊社は広いところで戦えば、必ず潰されてしまいます。
余程の発明をしない限り難しいのですよ。
ただ普通にやったのでは不可能。
だからこそ、「狭い市場の中の世界1位」を目指しています。
いつも開発をしていて、出来ることならば
「日本初、世界初」を取れるよう頑張っています。

これからの世界、様々な機械が必要になる時代です。
弊社ではロボットまで作る予定は現在ありませんが、
ロボットを作るメーカーが必要となる商品を作っていければと思っています。
上手くいけば会社は数倍の伸びを見せるでしょう。
時代は変化しています。
それに合わせた開発がこれからも必要になりますね。

会社は大きくせず、必要最小限の拡大を図ります。
大きくなってしまえば、それだけ管理も難しいですから。
ユニパルスはいつまでも少し大きめの「町工場」です。

何をしたいかが明確な人は成長する

これは何を指してもそうですが、
「何かに興味を示して欲しいと思います」
興味をもつ人は、放っておいても伸びるのです。
どこの会社でも、手取り足取り教えることは不可能です。
自分が与えられた仕事を考えながらやることで成長し、
本当に仕事は楽しいと感じるようになるものですから。

大手に入れば、安定する。
その気持ちがあるかも知れません。
ですが現実は違うと思います。
大手ほど、冷たく不安定でもあるのです。
業績が悪くなれば、50歳でも辞めなければいけないこともありますから。

弊社が求めるのは、「何かを作ってみたい」と思える人です。
その気持ちがなければ、成長はしないでしょうから。
会社に入ってから勉強すればいい。
その考えでは長くかかってしまいますからね。
学生の頃に「何をしたいのか」。
常に考え続けてください。