ファイア・アップ株式会社 代表取締役社長 米田佳孝


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代表取締役社長 米田佳孝

代表取締役社長 米田佳孝

設立 平成16年5月
事業内容
    • 燃焼機器の省エネシステムの開発、製造、販売
会社HP http://www.fire-up.co.jp

大人になったら事業家になる

小学生の時の作文に、「大人になったら事業家になる」と、書いていたのを覚えています。
会社の社長になると言うのではなく、
事業家になるという言葉使っていたようです。
「夢」という感覚ではなく、そうするのが当然という感覚でした。
それは、父親が丁稚奉公からの叩き上げの起業家であり、
それを身近に見聞きして育ったことが影響していたのでしょう。
「一流大学を出て官庁か一流企業へ」という考えは頭からなく、
何か自分で事業を起こそうと考えていました。

でも学生時代は、そんなことを忘れて勉強もせずにスキーに明け暮れていました。
いざ、卒業・就職という段階になって、ようやく自分の将来を考え始めました。
そして、就職先として選んだのが日本IBMでした。
当時、世界で最も優れた会社だからという理由で選択したのです。
会社に自分を選別して貰うのではなく、
生意気だったのですが、自分が主体的に就職先を選ぶという感覚でした。

そこで働き始めて、わずか1年と4か月で、米国IBMで仕事をするチャンスを得ました。
そこで思い知らされたのは自分がいかに勉強していないかということでした。
当時でさえ米国では経営者になるには、MBA(経営学修士)は常識という世界だったのです。
ろくすっぽ本さえ読んでいなかったことに気づき、思い立って片っ端から読み始めました。
しばらくして、日本へ戻るように言われたタイミングで、辞表を提出し、
それと同時にビジネス・スクールへの願書を提出しました。

経営者としてのスタート

ビジネススクールを卒業後、著名なコンサルティング会社の内定をもらいながらも、
思い直して実業の世界へ真っ直ぐに飛び込む道を選びました。
父の会社で一年ほど経験を積んだ後に、新規事業部を創らせて貰い、
その会社でやっていないことにがむしゃらに挑戦していきました。
数年経って2億円もの赤字を出してしまい、
「おまえ、脛かじりも、いい加減にせんかい!」と言われましたが、
しかし、この間に進むべき方向を見出していました。

ようやく、新会社設立の準備も整い、私は経営者としての第一歩を踏み出す事となったのです。
33歳でした。
経営幹部は、私を含めて3人。
初月から月次決算を行い、初年度は、360日目を過ぎたころに損益分岐点を突破、
かろうじて初年度から黒字を出す事に成功しました。
売上高は2億円程でした。
その後、私自身に大きな力は無いのに時代の風にうまく乗り、順調に成長することが出来ました。
5年を経たずに、父の会社に2億円を返済することが出来、ほっとしたのを覚えています。
そして、ちょうど10年目に売上高は100億円に達しました。

このような結果が出せた要因は、ラッキーも含めていくつもありますが、
この会社がユーニークだった点は、
創業当時から私を含めて役員3人の役割分担が出来ていたことです。
「商品をつくること」、「商品を売ること」、「全体戦略と経営管理をすること」の3つを
3人それぞれがきちっと担当し、
信頼し合いながらもせめぎ合いをしながら全体として調和がとれていたことです。

企業が成功する3つのポイント

私が考えるビジネスでの勝ちポイント。
それは大きく3つにまとめる事が出来ます。

まず初めに「大きな戦略が時代に沿っている」という事。
私が先程「時代の風」と形容したように、
その時代に合ったビジネスであるかどうかは大きなポイントとなるでしょう。
この風に乗れるかどうかで、成功の度合いが大きく変わります。
私はかなりの期間、大きな逆風にも遭いました。
その時は、ただ耐えるだけ、成長などおよびもつきません。
ですから、時代の要請に沿った、外部環境に適合したビジネス・フィールドであることは
とても大切なことです。
 
次に、「そのビジネス・フィールドでの専門スキル」。 
マネジメント等のジェネラルな能力に加えて、
そのフィールドでの専門的な能力を養っていく必要があります。
企業内にコア・コンピタンスを構築して行かなくてはなりません。

そして最後に「情熱」。
これが無くてはいけません。
情熱に支えられたエネルギーと言ってもいいでしょう。
私自身、起業した初年度からいきなりニューヨークの百貨店へ売り込みに行きました。
もちろん、全てが上手くいくわけではありません。
むしろ失敗することの方が多いでしょう。
しかしながら、失敗することによって実践の中から早く学べます。
この継続が、個人も企業も成長させていく原動力であると思います。

機能商品と嗜好商品

世の中には優劣の商品と、好き嫌いの商品とがあります。
優劣の商品とは、性能の良し悪しで買われるもので、
好き嫌いの商品とは好みで買われる商品と言えるでしょう。
例えば、建設機械は前者で、音楽は後者にあたります。
現実社会では、ほとんどの商品はこの2つの軸の側面があり、
その度合いが商品それぞれによって異なっています。

私が長く携わってきた世界は、ファッション分野でしたので、好き嫌いがベースの商品でした。
その後、その世界を離れて大学院でベンチャー経営戦略を教え、
一方で実践的にベンチャー企業をサポートすることを自分のフィールドとしていました。
経営学を教える中で、
好き嫌いの世界の経営と優劣の世界の経営は、どこが共通でどこが違うのかということについて、
ずっと興味を持ち続けていました。

そんな折り、縁あって当社ファイア・アップ社の代表に、
という興味をそそられる話が舞い込んできました。
優劣の世界で、いい技術を持っていながら創業以来ずっと赤字続きの会社です。
これを引き継いで経営するという、私の挑戦心を掻き立てるの十分な機会でした。

優劣の世界では、競合他社よりもコストパフォーマンスが優れていれば、売るのは簡単です。
しかし、当社の技術はどこにもないユニークなものであり、
商品として未だ市民権を得ていないものです。
他社にないユニーク技術ゆえの苦労がありました。
新しい商品は、ユーザー様になかなか理解して貰えないのです。 

Evidence Based Technology

そこで、試行錯誤の上で到達したのが現在のビジネスモデルです。 
理屈では理解されない技術を、どうやって受け容れてもらうか。
これには結果しかありません。
しかし、結果を出すには当社の技術を導入して貰わないと結果は出ません。
そんなジレンマに陥りましたが、
なんとかこれを乗り越えて現在に至っています。

当社の事業活動の元にあるのが 
「Evidence based technology」
という考え方です。
具体的に統計学的に証拠を示す事で、技術の優位性を証明するのです。
これは医薬品の世界では浸透している考え方です。
実験での良い結果がそのまま実際での良い結果をもたらすとは限りません。
それは、人体は複雑系だからです。
当社のフィールドである燃焼器も、
実際の現場では様々な使われ方をしていて、正に複雑系です。
そこで、事実に基づく根拠を統計学的に固めて、信用を得る事が出来たのです。

当社の技術は、まだまだ発展途上です。
コア技術の耐熱性等をさらに高めていくことで、当社技術の適用範囲がますます拡がっていきます。
そして、より効率的に熱を伝達させる技術によって、省エネを推進し、
地球環境に貢献したいと考えています。

正しい姿勢の継続

若い皆さん方に、数多くの失敗を重ねてきた先輩として、伝えたいことがあります。

それは、正しい姿勢を継続するということです。
学ぶ姿勢、仕事に取り組む姿勢、人生に取り組む姿勢。
これらの姿勢を常に正しくしていてください。
そして、それを継続してください。
これが皆さんへのメッセージです。

大切なのは、勉学や仕事や人生への向き合い方。
素直に真正面から向き合うべきです。
背筋をピンと伸ばして向き合って下さい。

そしてもうひとつ、継続の力を理解して下さい。
継続は力なりという言葉がありますが、
積み重ねがどんなに大きな力を発揮するかということを知らない人が殆んどです。
正しい姿勢を継続していると、
知らず知らずのうちにいつしか大きな差となって表れてきます。
この力は本当に偉大なものです。

私はこの偉大な力を間近に知っています。
20歳のころはあまり差のない二人が、5年、10年、15年と時を経るごとに
考えられないぐらい大きな差となってきている実例を多く見てきました。
DNAや学歴の差などは、正しい姿勢の継続による偉大な力に比べれば些細なことです。
是非、これから実践して下さい。

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