株式会社ニットー 代表取締役 藤澤秀行


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代表取締役 藤澤秀行

代表取締役 藤澤秀行

設立 1967年9月
事業内容
    • プレス金型製作、プレス加工、板金加工
    • 機械部品加工、治工具設計製作、溶接加工
    • 製品開発、製造、販売
    • 金型および金型部品の販売
会社HP http://nitto-i.com/index.html

学生時代の様々な経験

当社は、先代である父が創業した会社で、私は2代目です。
学生のころから、2代目としてゆくゆくは会社を継ぐことになるだろうと考えていました。

学生時代は自転車同好会に所属しておりました。
もともとアウトドアが好きだったので、
自転車を使って旅行するということに強く興味を抱き、入部しました。
国内はもちろん、アメリカを横断したり、ニュージーランドを一周したりなど、
各地を自転車で旅をしました。

学生のうちは色々な経験を積もうと、長期休みの度にあちこち旅行に行っていました。
卒業旅行はネパールに一人で旅をし、ヒマラヤ山脈に登りました。
ほかにもトライアスロンに出場したり、自分の専攻の研究に没頭するなど、
非常に有意義な学生生活を送ることができました。

私が就職した1995年はバブル崩壊後の不況真っ只中の時期でしたので、
就職せずに大学院に進学する同級生も多かったのですが、
私は家業である当社を継ぐため、できるだけ早く社会に出たいと考えていました。

しかし、いきなり会社を継ぐには経験もないし、
何より他社のことも知らなければ視野が狭くなってしまうと考えた私は、
大学卒業後は横浜に本社のある、バネを製造するメーカーに就職しました。

2代目として、会社の再建を担う

前職は、業界トップシェアとして名が知られていましたが、
昭和の時代から続く歴史ある会社でしたので、
新しいことにどんどん挑戦するという発想に乏しかったため、
自ら製品開発の部署に配属を希望し、
できるだけバネを使うお客様に近い位置で仕事をしようと考えました。

その部署には3年ほど在籍し、
新しい商品を海外の展示会に出展するなど、
色々な経験ができるようになっていたため、
会社を継ぐ前に、もう少し修業をしようと思っていました。

しかし、父から人手不足のため当社への参画を促され、
これもひとつの縁だと、前職を退職し、当社に入社しました。

私が入社したときは、
当社は町工場の規模から脱しておらず、
私は会社の規模をもっと拡大しようと考えました。

そこで、トップメーカーでもある前職を取引先にできないか考えたのですが、
当社はあくまでも町の小さな工場で、零細企業である、とみなされてしまい、
相手にしてもらえませんでした。
悔しかったですが、そのころ当社は前職の会社と取引できるだけの実力がありませんでしたので、
まずは社内の改善から始めようと思い、
社内に目を向けることにしました。

改革のためなら、自らが変わる。

各メーカーが生産拠点をアジア圏へ移動させる動きが高まり、
同業他社とは価格勝負を繰り広げざるを得ないという状態が続く中で、
当社だけにしかない「強み」というものを構築する必要がありました。
そこで、当社は企画から生産までを、
一括して自社で行うことができる体制を整えてきました。

社内改善に踏み出すにあたり、
特に意識したのは人間関係です。
当社には、私が子どものころから働き続けている社員が何人もいました。
私の父の下で働いていた人からすれば、
子どもだった私がいきなり会社にやってきて、
指揮をするようになることに対し、面白くないと感じた人もいたでしょう。

しかし、実際にはベテラン社員が私の立場を理解し、フォローしてくれたおかげで
何とか社長としてやってこれました。

もともと工学部出身で、物を作ることが好きだった私は、
経営の傍ら、加工やプレスといった業務分野も勉強しました。

やがて、景気回復とともに、
それまでの業務改善と専門だった金型以外にも、
プレスや板金加工など、他部門への積極的な進出が実を結び、
業績も大きな伸びを見せました。

製造業は、大手企業の傘下にあることが多く、
大手の資本に依存しがちになりますが、
当社は大手の資本が入っていないぶん、
積極的に独自の取り組みができるうえ、
一社あたりの取引額も大きな額ではなかったので、
リーマンショックが起きたときも、そこまで大きな影響を受けることなく、
事業を継続させることができました。

会社のベースには「企業理念」が不可欠である

2004年に、経営悪化により資金繰りに苦しんでいた知人の会社を買収することになり、
初めてのM&Aを経験しました。

当初、私は当社の改革をしていくうえで重荷になると思い、反対しました。
しかし、買収後は従業員の雇用を継続させることができた、新しい販路が広がったなど、
あらゆる面でメリットを感じることができました。

初めは10名程度の規模だった当社ですが、
買収により段々社員数が増えていく中で、
円滑なコミュニケーションを図るために、組織作りを強化していきました。
リーダーの育成や、業務手順の標準化、製造工場の一本化など、
組織として平衡を保つため、再びあらゆることに手を加え、
組織を形成していきました。

また、組織の意識を統一する意味で、企業理念を再度構築しなおしました。
当社の企業理念は、従業員も含めて決定したものです。
「自分たちは何のために生きているのか?」
という生きる目的に立ち返って考え、
会社の存在意義や、会社の方向性を半年間かけて話し合いました。

出身の会社によって、社風や考え方がバラバラで、
考え方自体は間違っていないけど、足並みが揃わない、ということが起きていましたので、
買収先の社員たちの意識を統一し、全員が同じ方向に進んでいくことが必要でした。

そのため、自分たちの考え方のベースとなる「企業理念」の再構築は、
M&Aを行ったあとには必要不可欠でした。

こうして、再構築した企業理念は、毎朝の朝礼で唱和しています。
毎日繰り返して読み上げていると、
何か社内で困ったことがあったとき、ふと企業理念が頭をよぎるようになるなど、
自分の行動に企業理念が組み込まれるようになっていきます。

「メイドインジャパン」へのこだわり

M&Aの後、社内外に自分たちの思いや方向性をどう伝えていくか、というのは
非常に大切になってきます。

そこで、当社の強みでもある「自社一貫生産」を重視するようになりました。
「メイドインジャパン」であることにこだわり、
一貫生産を強みにしていくことで、
お客様のパートナーのような立場として、継続的に様々な仕事を受注していけます。
お客様の苦手とする分野であれば、逆にこちらから最適な方法の提案もしています。

今後は、自社で製品企画を行い製造したものを販売まで手掛けようと考えています。
その第一歩として私自ら開発に乗り出し、
ヌンチャクをイメージした「iPhone Trick Cover」というスマホケースを開発しました。
商品説明の動画をYoutubeに投稿したところ、
国内外から多数のアクセスがあり、
2012年8月から本格的に販売を開始しました。
現代はYoutubeやSNSを使って、無料で全世界に情報を発信することが可能です。
これをうまく活用したことで、大成功を収めることができました。

現在は第二弾として、
「くるみる」という、iPhoneで3D360度撮影が可能な製品を開発中です。
これはIT企業とのコラボレーションによって実現した企画で、
今後はこうした異業種との連携により、新たな製品開発に乗り出したいと考えています。

自社のリソースにとらわれていると、新しいアイデアが生まれにくくなってしまいます。
こうした異業種とタッグを組むことで、自社の強みを最大限生かした開発が可能です。
自社製品の開発により、受注生産にもその経験を生かすことができるようになりますし、
受注生産の際にも、自社製品の開発という実績がクライアントへの宣伝にもなります。

今後は、既存の受注生産との2つの事業によるシナジー効果で、
さらに効率的な事業を展開していく方針です。
自社製品の開発も行うことで、
当社の存在感を社会全体にアピールすることが大切だと考えています。

自分の「好き」とは何か?

学生の皆さんには、自分の「好き」を大切にしてほしいと思っています。
たとえ、仕事とは結びつかなさそうな趣味であっても、
ひとつのことに熱中して取り組んだという経験が、どこかで活きてくるはずです。
「好き」という気持ちから、仕事を探したり起業することもできるのです。

何を求められているのかを考えるのではなく、
自分が何をやりたいか、という気持ちが大切です。
そこから分析し、世の中に広めていくためにはどうしたらいいのか、ということを
結び付けていけばいいのです。
自分の好きなことを仕事にすることで、いざというときの底力も違ってきます。

いくらセミナーや勉強会に参加しても、
参加しただけではその知識は意味を成しません。
その場で培ったことを武器に、
行動を起こしていけることこそが求められることです。
もっと貪欲に、自分の夢や目標を実現させるだけの行動力を持ってほしいと思います。

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