代表取締役社長 藤岡 比左志

代表取締役社長 藤岡 比左志

設立 1969年9月22日
事業内容
    • 海外旅行ガイドブック、ビジュアルガイドブックなどの刊行
    • 海外研修企画(学生を対象とした夏のツアーと卒業旅行のツアー)の立案、運営
    • WEBの運営
会社HP http://www.diamond-big.jp/

「地球の歩き方」が生まれた理由

もともとダイヤモンド・ビッグ社は、ダイヤモンド社の1つの事業部でした。
そこでは、「就職ガイド」を作っていて、
企業を紹介する内容として就職を控える大学生に支持されていたんです。
当時はインターネットが普及しておらず、情報入手手段は紙媒体だけでしたからね。

しかし、ダイヤモンド社は「企業のことを取材して記事を書く事業」であり、
就職ガイドというのは「企業からお金を頂いて記事を書く事業」でした。
1つの会社の中でこの2つを両立させるというのは「まずい」という声も上がっていたんです。
ならば、分けるべきだと、昭和44年に分社をしたんです。

分社してからも就職ガイドは安定した売上を持っていました。
その副業として、「内定した大学生に海外の卒業旅行の提案」をしていたのですが、
1970年代の海外旅行というのは今と比べると相当に高く、
初任給の8倍から10倍とも言われていました。
これには、海外旅行における学生向けのローン制度で対応をしたのですが、
問題はこれで終わりとはいきませんでした。

そもそも学生が海外へ行く、というのが珍しかったために
学生向けの情報が圧倒的に不足していたんです。
そこで生まれたのが、学生たちによる海外の体験談を綴った「地球を歩こう」でした。
これは弊社のツアーに参加する特典として配布していたのですが、
これを見た印刷所の方が「これは面白いから、市販をすれば売れる」とアドバイスを頂いたんです。
周囲からは反対の声もあり、弊社は半信半疑で売り出した所、これが売れたんです。
そしてこれを機に、「地球の歩き方」として本格的に出版することとなります。

発行から現在まで

第1巻はヨーロッパ、第2巻はアメリカ、第3巻はインドと、時代を象徴して発行していました。
それに伴って、急成長を続けていて、
現在は200タイトルを上回っており、海外だけでなく国内も手掛けています。
これほど大きく成長したのには理由があり、

1つ目は、70年代にジャンボジェットが就航することになり、
飛行機の座席が余るようになったことです。
それまでは小さい飛行機が多く、海外に行こうにも
座席がすぐに埋まってしまうことが往々にしてありました。
しかし、空席が目立つようになったため席を格安で販売するようになり、
海外へ行くことが比較的に安価になったんです。

2つ目は、円高です。
黄金の80年代とも言われるほどに、日本の景気は凄く良かった。
若い人の収入や取得も多くなり、
1つ目で挙げた座席料金の値下がりもあって年間の海外渡航者は200万人に達し、
80年代の終わりには1千数百万人の数となったのです。

しかし、本業であった「就職ガイド」はバブル崩壊とともに陰りをみせ、
インターネットの登場により完全に衰退してしまったのです。
そのため、「就職ガイド」事業を分離して別会社を設立。
ダイヤモンド・ビッグ社の事業は、
本業でも、本業の副業であった「学生旅行」でもなく、
副業の副業であった「地球の歩き方」を中核として活動するようになります。

誰かの役に立っていなければ存在価値はない

私は「会社は何のために存在しているのか」を常に考えていて、
お金儲けのためだけではない、と言い続けてきました。
会社の本来の存在意義としては、「誰かの役に立つこと」だと思います。
役に立つことが出来ないのならば、会社である価値はありません。
では、弊社は何の役に立っているのかと考えると、
旅行や留学に関係する本やサービスの提供というのは、「何か」の役に立つと考えていて、

『「地球の歩き方」を持って海外に行くことで、役に立った』
または、『読んであの国に行きたいと思った』など、
そう感じとって貰えることは、すごく意味のあることだと思います。
旅行に行くことは絶対に必要なことではありません。
一生、行かなくたって構わないし、必要だってないんです。
でも、それじゃあ「人生はつまらない」と私は思うんです。

人は生きていく中で、どこかで生き抜きが必要になってくるもの。
そして旅行は、人生を豊かにしてくれるものです。
新しい文化や物に触れることで、新しいアイデアが生まれてきます。
弊社は、そのお手伝いをしているだけなのです。

「地球の歩き方」がNO.1の旅行ガイドである理由

「地球の歩き方」には、様々な情報が入っています。
しかし、海外旅行好きな方のなかには出会いの新鮮さを重視して、
事前に物事を調べようとしない方もいらっしゃいます。
それもまた1つの楽しみ方だとは思います。
ですが、せっかく海外に行くのなら、
知識を持ってから行くほうが感動は確実に増えると私は考えています。

例えば、建造物を見たときに歴史的な背景を知っていると、
どうしてこの建物は建てられたのか、ここで何が行われていて、誰がいたのか。
そういったその時代のドラマを楽しむことが出来るます。
これは他でも当てはまり、国の歴史や成り立ちでも言える事。
海外と言うのは知識を持つことで、一際見るときに輝くものなのです。

お店の紹介や綺麗な景色など、それだけを取り上げて記事を書くのではなく、
そういった「知識」を含んだ紹介に、地球の歩き方は一貫性をもって取り組んでいます。
これからは時代に合わせ、情報のデバイスを変えていくのかもしれません。
しかし、本質は変えていくことはありません。

フレキシビリティがある人材

テクノロジーの発展というのは予測がつかないものです。
10年後にどんなデバイスが中心になっているのか、それは分かりません。
スマフォも当時はそうでした。
これほど発展するというのに気付いた人は、ほとんどいないでしょう。
フェイスブックも今でこそ言われていますが、5年前にはミクシィが中心として動いていました。
では今挙げたもの全てが10年後まで中心としてやっていけるか、
というのは誰も分からないんです。

デバイスはテクノロジーの変化によって、どんどんと変わっていきます。
だから、「今ある物にこだわる人はいけません」。
出版業界だからといって、活字だけ、というわけではないのです。
私が求めるのは、“フレキシビリティ”つまり、柔軟性を持つ人です。
即戦力なんて求めていません。
企業が新しい若い人を求めるのは、
会社内にはない「斬新な発想」や「柔軟性」、「伸び代」などの将来性に期待しているんです。
だからこそ小さな実績を誇るのではなくて、
「自分の可能性」を企業に訴えて欲しいです。

若いときにたくさん刺激を受けないとダメ

若い時代にぜひ旅行に行って欲しいです。
特に今は旅行に関心のない方が、若い人に少なくない。
しかもこれは2極化で、行く人は何度も行くのですが、
行かない人は絶対に行かないことが多いんです。
これには理由がありインターネットの普及が大きく影響していて、
行かなくても、ネットを通して見た気分になっているんですよ。
それじゃあ勿体無いと思いますね。

現実で感じることの意味というのがあるんです。
音楽もネットで手軽に聴けるようになり、逆にライブの価値が上がっています。
ライブは、場所によっては、音楽をしっかりと聴くことは出来ないなんてこともありますね。
しかし、その場所にいることこそに価値があると思うんです。
大きな空間の中で熱気を感じることが楽しい。
旅行も同じです。

テレビを通して見るのと、現地に行くのとでは、発見に大きな違いが出てくる。
「リアル感」というのは、何事にも替えがたいものです。
そして緊張感を大切にしてほしいです。
今の人は、実家や学校などの往復、地元が好きで緊張感がない。
緩むばかりではなく、適度な緊張感をもって人生を送ることも必要です。
若い時代にこそ、感度や感性を鍛えてください。