代表取締役 草薙 俊介

代表取締役 草薙 俊介

設立 2011年11月2日
事業内容
    • 動画マーケットプラットフォーム「necfru(ネクフル)」の運営
会社HP http://necfru.jp

今までにないサービスをひらめいて起業

元々社長になりたいとは特に思っていませんでした。
社を立ち上げたのが僕なので必然的に社長をしているにすぎません。
現在も「社長」という肩書はどこにも入れてませんし。

大学卒業後、就職もせずフリーターをしていました。
3年経って、何となくサラリーマンというものをしてみようかと思い就職したのが
たまたまECのソフトをリースする会社でした。
コンサルと営業をしていたのですが、
一人で1000件近くの案件を抱えることもあり販売後のサポートはおざなり。
しかも営業がお金を取って来た後に収益なしでサポートを何年も行なう為に人件費だけが膨れ上がり、
ビジネスモデルとして破綻していました。
これはダメだと感じたんです。

僕は技術もないし何かできた方が良いと思い、独学でプログラミングの勉強を始めました。
わずか3~4年前ですが、当時は今のように無料で学習できるサービスが無かったんです。
そこで、学習用のDVDを購入し勉強をすることにしました。
モニターを見ながら横で一緒に真似するというものです。

値段が高くて何百時間分も入っているのに、
そのうち一部しか必要じゃなかったので非常にもったいなく感じました。
個人が出しているような商材だったんですが、DVDの発送やプレスも個人でするととても大変でしょう。
しかも買う方としては知識を身に着けたいだけでDVD自体が欲しいわけではありませんよね。

であれば、誰でもすぐ販売でき、誰でも購入できてストリーミングで
好きな時に視聴できるものがあれば良いのではと思いついたのです。
せっかくプログラミングを勉強中だし、無いのなら作ってみようと。
それが現在のサービス、「necfru」を始めたきっかけです。

楽しみながらサービス作り

現在、役員をしている先輩と相談して会社を設立しました。
世界中のサービスを見ましたが同じようなサービスはありません。
いろんな人に話を聞き、ニーズはあると確信しました。
だったらやってみようと。
今になって、「やろうと思ったことがある」とか、
「今のようなネットインフラが整う以前にやって失敗した」とか、いろんな話を聞きます。
今では随分安くなりましたが、昔はインフラコストがとても高かったこと、
今みたいにモバイルで動画を見る仕組みや文化がなかったこともうまくいかなかった理由でしょうね。

会社のビジョンとか経営理念を掲げるよりも、
一つ一つのサービスをたくさんの人に使ってもらいたいとか、
サービスである限り誰かに価値を与えているとか、
社員全員が共通してそういう意識を持っていることが大事だと思っています。

YouTubeなどでどんどん有名な人が出て来ていているのに、
彼らが着実に利益をあげる仕組みがありません。
どうしても大人が入ってきて全部引っこ抜いてしまう。
価値あるものを作れるならすぐ世界に出した方が早い、あるのはその思いだけです。

DVDは既に時代遅れ、今後は無くしていきたいですね。

社員は3名です。経営理念について話し合ったこともありません。
ただ、このサービスを広げ使ってもらいたいという思いでやっています。
こうやったらもっと良くなるとか、そういう気持を大事にしています。
ユーザーももちろんですが、一番楽しむべきは自分達だと思っています。
これからも楽しみながらものづくりをしていきたいですね。

新しい動画共有サイト「necfru」の運営

誰でも動画の販売・購入ができる
全く新しい動画共有サイト「necfru」を運営しユーザーを増やそうとしているところです。

現在、3人なのでとても忙しいんです。
「necfru」はIT知識が高い人だけではなく、みんながターゲット。
技術的にも取り立てて新しいことをやっているわけではなく、
爆発的に普及するという性質のものではありません。
周りにもサービスの普及には時間がかかるだろうと言われています。

実際に、今もまだまだ赤字経営です。
アップされた動画の30%しか手数料をいただいておらず、
その中から決済手数料や音楽著作権料なども払っているため、実際には利益は2割程度。
従って、これからもどんどんユーザーを増やさねばなりません。

赤字分は知り合いからの仕事をこなして穴埋めしています。
それをしていると自社サービスの開発が進まないというジレンマも抱えていますが、
どこのベンチャーも同じようなものではないでしょうか。今は我慢の時ですね。

仕事は全て手作業で行っています。動画を作っている法人や個人、
3万人超のリストをExcelで作成し、定期的にメールして返事があれば会って営業しています。
システム化できれば良いのかもしれませんが、
現在のところネットで検索して誰が動画を持っているか探さないといけないんです。
ITとは名ばかりの泥沼営業を展開していますよ。

より使い易く、楽しいサービスを世界へ

今後もコアな部分は変わらず、
誰でもアップできて誰でも使えるサイトを運営していくことを目指しています。
ただ、もっと使い易く、ユーザーが何度でも戻って来てくれるような

楽しいものにしていかねばならないと常々考えています。
それがあってこそのシステム作りであり、機能の強化ですからね。

ネットのサービスなので国内や世界といった区別も考えていません。
アメリカやヨーロッパの人も動画を買ってくれていますし、ベトナムの人が動画をアップしていたりもします。
ただ言語に対応すれば良く、誰でも使えるのがこのサービスの良いところです。

以前はサービスを作り、ユーザーを集め、営業してデモを見せてという仕事でしたが、
私自身はだんだんそちらに手が回らなくなってきているのが現状です。
最近ではいろんなところから提携の話もいただき、ずっと説明や打ち合わせをしていたりしますね。

それゆえ、ユーザーとの距離が遠くなってきているのは残念に思っています。
サービスはユーザーに使ってもらうものですから、
ユーザーとコミュニケーションを取って「もっとこうしたほうが良い」とか考えるのが楽しいんですよね。
ユーザーとはメールや電話、可能な場合は直接会って話をしています。
今のところ関東近郊なら連絡をいただいた方全員に会うようにしていますよ。

話をしに行って損をしたこと、つまらなかったと思ったことは一度もありません。
先方も興味を持って連絡をしてきてくれていますし、私も何か”モノ”を売りに行くわけではないので、
とてもフレンドリーに話しができます。
「necfru」は動画をアップする人も買う人もIT知識が高い人ばかりではないので
なかなかメールや資料だけでは伝わりにくいのですが、実際に見せて説明するとみんな喜んでくれるんですよ。

サービス、ユーザーのことを真剣に考えられる人材

現在のエンジニアは、私のブログやツイッターを見て、私自身とこのサービスを元々知っていたんです。
その後、エンジニアが必要となりネット上で求人募集をかけましたが、これという人に巡り合えていませんでした。
いよいよお金出して求人を出すしかないかと考えていた時に、彼からぜひ一緒にやりたいと連絡をくれたんです。
これはラッキーでしたね。ずっとエンジニアをしていて、ある会社で開発のリーダーまで務めていた人なんです。

現在、開発はエンジニアと私の二人で行っていますが、私の言ったことを素直にやるだけの人ではつまらない。
ユーザーにこう使って欲しいからこんな機能はどうだろうとか、いやこうじゃないかとか、
とことん話し合って仕事を進めています。
その話し合いにもう一人二人と参加してくれるならそれはすごく嬉しいことですね。
ユーザーのために考えることができる人、扱うサービスのことを真剣に考えることができる人と
一緒に仕事がしたいです。

会社って学校と似ているところがあるとも思ってます。
学生時代にサッカーをしていて、練習は楽しくないけどサッカーは好き、試合には出たい。
そして仲間がいるおかげで辛い練習も楽しくなる。

会社でも仕事は大変だけど結果を出さねばならない。
大変だが、チームで好きなことに取り組むのは楽しい。
社員みんな、会社がやっていること、扱っているものが根本的に好きなら
自然にそういう雰囲気になるのではと思います。
そんな雰囲気の組織にしていきたいですね。

よくよく考えよ

最近は安定志向の学生が多いようです。
「安定」の定義も様々だとは思いますが、
「この会社でずっと仕事していて楽しい、伸びている」という精神的安定を与えることは
会社にとっての義務かもしれませんね。

以前あるIT企業を経営する知人に
「こういう地味なサービス、すごく良いと思う」と言われたことがあります。
突拍子もないサイトではない、単純な発想だけど今までに無かったサービスだし、
一定数以上は絶対に必要としてくれる人が居るだろうとのことでした。
そこを分かってくれる人がいると嬉しいですね。
ベンチャー企業だと派手とか野望があると思われがちかもしれませんが、
当社の場合はそうでもないんですよ。

ベンチャー企業なら自分のやりたいことができると思うかもしれませんが、
やはり決めるのはトップの人間です。
それは大企業と変わりません。
ただし、事業を検討する上でどのように考えて
GOがでるのかを可視化して見せることはできるでしょう。

単純に自分の声が届きやすいとか、社長と距離が近いとか、
ベンチャー企業に対して学生が持っている漠然としたイメージは実情と違うのではと感じてます。
確かにベンチャー企業の方が社長の声は近くから聞こえるかもしれませんが、
社長の近くで声を聞いていれば社長になれるわけでもありません。

将来起業を目指している人もいるでしょう。
私も含めて世の起業家に共通して言えることはとても深くよくよく考えたということです。
私も最悪のパターンまでシミュレーションして、失敗の可能性を一つ一つ潰していきました。
すると死ぬことはないだろうと分かってきます。
会社が倒産するとか、仕事がなくなるといったこともあり得ますが、
それは大企業にでも起こりうることだし別に命はなくならない。
であれば、やりたいことをやってみようと思えたのです。
学生の皆さんもぜひ自分自身の将来のことをもっとよくよく考えてみてください。