代表取締役 洞本昌明


代表取締役 洞本昌明

設立 2005年2月
事業内容
  • 「アンジェ web shop」を中心としたオンラインショップ事業の運営/商品企画
会社HP http://www.selecture.co.jp/

起業まで

私の実家は、京都でふたば書房という書店を営んでいます。
同族経営の環境で育った事から、経営や売上の話は日頃から耳に入ることも多く、
小学生の頃から当然のように会社を継ぐ人生なのだと考えていました。

大学時代まで京都で過ごしましたが、将来的にも経済の中心は東京であり、
他所の窯のメシを食ってこいと、東京の企業で一年間の修行時代を送りました。
その後、家業のふたば書房へ入社し雑貨部門に配属。
まずは現場からということで、2年間百貨店内の店舗で、顧客第一主義を学びました。

その後、1999年にTV番組に出演されている楽天の三木谷社長の
「これからはインターネットが主流の時代だ」との話に刺激を受け、
ネットショップの開設に向け行動を移しました。

計画書を作り、社内稟議が通り、2カ月間インターネット上でテスト販売を実施しました。
その結果、予測を上回る成績が上がり、2000年7月にアンジェweb shop楽天市場店を設立。
本格的にサービス展開しました。

そして2005年、アンジェweb shopの更なる成長を目指し独立。
新たにセレクチュアー株式会社を設立しました。

顧客満足度の追及

ネットショッピングというビジネスを、国内最大のショッピングモール楽天市場内で見ると、店舗数が約4万店。
そのうち年間退店数が7,000~10,000店舗。
さらに、10年間生存率が約8%と、一見投資額が少なく容易に思われがちな業界ながら、中々厳しい環境です。
たとえ小手先で一時的にカテゴリーの上位ランカーを獲得出来たとしても、
後に続かず、5年後にはもういないというケースもあります。
そんな世界で生き残っている我々と他社との違いは、
身を削ってでも本気で顧客満足度を追及していることだと考えています。
その発想の根本になっているのは、「先義後利」という言葉です。

顧客満足度を高める事で生涯利益に繋がる。
これが結果的に長期的ビジネスでも不可欠なので、日頃からいかに誠意をもって接するかを根底に置いています。
簡単に言えば、お客様に安心してお買い物をして頂ける場を提供し、また親身になった接客をする等です。

最近では、ネットショップ業界の成熟により、各企業共にあらゆる販売技術を使って伸ばされていますが、
当社の場合、オープン当初から変わらぬ企業理念を守り続ける事が今を作っているといった形です。
この根本の差は、表面化しづらいものの、結果的に数値に現れていると考えております。
数値の具体的事例としては、
母の日に贈る花の一般的な花ECの店舗リピート率が10%前後なのに対し、当社は40%の数値が出ています。
日々の細かな積み重ねが、こうして数値として実を結んでいるのは喜ばしい限りです。

「コピーサイト」から新たな展開

現在、当社グループ内に、ネットショップの運営サポート会社もあります。
その誕生背景は、数年前、アンジェweb shopの「コピーサイト」が数多く出現した事に起因しています。
「このHTMLソースを使えばアンジェのように作れます」といった事が書かれたサイト等が
存在していた時代もありました。

それであれば、逆に当社がEC企業のサポートサービスを展開しようとなり、
社内にHP制作、写真撮影、物流倉庫マッチング等を行う専属チームを設けました。
それが今のセレクチュアーソリューションの前身であるEC事業部です。

よくあるECのサポート事業は、
HPの美しさを追求するデザイン会社や、効率重視のシステム会社視点が多いように思います。
一方、当社の場合、EC事業者視点から生み出すEC事業サポートであった為、
依頼者の要望を上手く掴めたのかも知れません。
また昨今のアウトソーシング時代に後押しされ、昨夏に独立させた形になります。
今では大手EC部門、物流部門の担当者から、個人でECを始める方まで様々なケースをサポートしています。

これからの展開

4年前から「スタッフみんなが自慢できるような会社」にしたいと考え、
社内改革を進めて来ましたが、9期目を迎えた今、ようやく成熟度が増したと感じています。

具体的には、2点あります。
1点目は、休日日数を増やし、誕生日休暇や在職年数によってボーナス的な5連休や10連休を増やした事。
失恋休暇という遊びのある特別休暇も増やしました。
また、福利厚生面では、ホテル宿泊やリゾート施設の割引が受けられる等も作りました。
これは、ベースとなる「働く環境」の改善を目指したものです。

2点目は、「働き方の問題」に関することです。
私はルーチン的なオペレーションが多い状態は、好ましい仕事の仕方と位置付けていません。
それよりも、お客様へのアプローチの仕方を考える、新しいサービスを生み出す等、
クリエイティブな仕事が大半を占めるようにさせたいと考えています。

各スタッフが世の環境を理解し、新たな発想をすることで相対的な優位性を確保する。
その結果お客様に喜んでいただけ、併せて数字も伸びれば、
目標の「スタッフみんなが自慢できるような会社」に直結してくるのではないかと考えています。

また、ビジネスにおけるクリエイティブな時間や自己研鑽の時間をより増やす為に、
ルーティンワークに関しては他者でも同じ成果が出せる再現性を伴うシステム化を進めています。

システム化は、大抵の場合が、属人性が高いと思っているのは担当者だけであり、
担当者も常に何かしらの「0か1」「上か下」の選択をしているに過ぎません。
その自己ルールを明確にしケース化させることによって、
属人的に行なっている判断や業務をシステムに任せることができます。

このように人間がやってきた事を、徹底的に「やらなくする」環境が整えば、
新人社員の業務もルーティンワークに限る事なく、充分にクリエイティブな時間に割けるのではと思います。

女性が大半を占める当社は、
結婚、産休などの割合が高く、在職年数が短くとも一定のポジションに上がれるチャンスがあります。
その機会を活かし、積極的に新しいことにチャレンジし、社内活性を図ってもらいたいと考えています。

求められる人材になるには

モチベーションをコントロールできる事は重要です。
成長を続ける上でも、調子の良し悪しに関わらず、一定水準を維持しなければいけません。
それは、結果は自己のやる気云々ではなく、常に結果に直結しているからです。

今週はやる気がなくて・・・といっても、お客様には一切関係ありません。
ビジネスで成功し続けられるのは、わずか1%。100人の競争で常に1位を獲得し続けられていた確率です。
すなわち、競争環境下で、1/100を実現しようとするならば、他の99人以上の成果を出す必要があります。
そう考えると、モチベーションの上下といった感覚すら目にもくれないレベルの人材が、
ビジネスの世界で求められる人財なのではないでしょうか。

モチベーションを保つ方法は、仕事に真剣に取り組むことだと思います。
それは、徹夜でゲームに勤しむ人のように、面白くてたまらないと感じる脳構造になれるかどうかです。
私の場合は、特にネットショッピングという世界に入り込みました。
その結果、普通の感覚では変わっていると言われますが、
仕事が趣味であり、「こうすれば、どんな事が起こるだろうか」と、理想を追っている日々の私の楽しみです。
強いていうなら、
この感覚が、「いわゆるモチベーションを維持させてくれている。」という事なのではないかと思います。

企業も就職も勉強の日々

起業はとても勉強になります。
とにかく自分で何でもやる環境は、勉強しなければいけません。
もちろん、学校での勉強とは違うビジネスでの勉強です。
全責任は自分で取らなくてはなりません。
失敗から学ぶことも本当に多いです。
しかし、それ以上に、新たなチャレンジをしてみる事は本当に面白く、やりがいがあります。

将来どうしよう。
そんな疑問を今持たれていたとしても、数年経てば環境変化もあり考えが変わるのは当然です。
ですから、就職活動で、夢や将来したい事は?と迷われているのなら、
まずは何か直感で面白そうだと思う仕事に挑戦し、
ひとつのことを自信が持てるようになるまで、本気で取り組んでみて下さい。
どんな仕事であっても、ひとつひとつの仕事でプロ意識を持って取組めば、
自分なりの面白さや、やりがいが発見できるはずです。
将来の事は、まずは、自分のビジネス上の武器となる物を備えてから考え始めても遅くはないと思います。