代表取締役 日比 靖仁

株式会社ファセオ 代表取締役 日比 靖仁

代表取締役 日比 靖仁

株式会社ファセオ
設立 2001年
事業内容
  • 住宅リフォーム事業(賃貸物件原状回復工事業)
会社HP http://faceo.co.jp/

高校を中退し、憧れの鳶職の世界に飛び込む

私の家は父も祖父も、鳶職人をやっていました。
そのため「鳶職人ってかっこいい!!」と子供の頃から憧れていて、
中学を卒業したらすぐにでもなりたいと思っていました。
しかし周りの友達は、みな高校に行くので、ふと迷いが生じたのです。
友達が夏休みで1ヶ月くらい休んでいる時に自分は仕事なんだなあ、と。
それで、高校だけは行こうと思い進学をしました。
高校では友達と遊んだりバイトをしたりと、それなりに楽しかったのですが、
徐々に自分にとっては、あまり意味がないと気付き始めたのです。
いずれは鳶職人になることを考えると、今やっていることはプラスにならないのでは、と。
そう考え、高2の夏休み前に学校を辞めることにしました。

鳶職は、年齢関係なく、挑戦する気持ちがあれば誰でも飛び込める世界。
そして、完全実力主義の世界なのです。
私の場合、ずっと年齢が上の人を部下として持つこともあり、
20代前半には現場の職長を務めるまでに至りました。
この頃には独立したいと明確に考えるようになっていましたね。

鳶以外の仕事も引き受けて会社の基礎を築く

独立したのは26歳の時。
鳶職人をやっていた弟とその同級生、前の会社で一緒だった土方の職人など、
私を入れて6人で会社を立ち上げました。
仕事に関しては、それまでのお付き合いがあったお客さんに
お世話になることもあったのですが、それだけではなかなか難しいのが現実でした。
そこで求人誌などを見て、鳶職人を募集している会社に行って、
下請けの仕事をもらってきたりもしました。
とにかく食べていくことに必死で、小さな仕事でも、
なんでも有り難く一生懸命に受けさせて頂いていました。

起業して4年ほど経つと社員も増え、私自身は現場から離れられる体制も
徐々に整っていきました。
もともと私は、鳶だけではなく色々な事業をやりたいと思っていたので、
この頃から何かないだろうかと、事業展開の検討を始めていました。

「原状回復」に様々なメリットを見い出す

色々と検討した中で始めたのが、賃貸の原状回復でした。
当時は職人だけの会社だったので、例えば建築の事業をやるといっても
新規のお客さんを開拓するノウハウがありません。
また、一般的なリフォームの場合も、営業とマーケティングが必要です。
そういった仕事を、安定的に得るためには営業力が必要ですが、
その自信はまだなかったのです。
当時の私たちの状況において、すぐに事業展開ができると判断したのが、
マンションの原状回復でした。

そしてもう一つ、原状回復をやろうと考えた大きな理由は、
お客様とのお付き合いが、ずっと継続する仕事であるということです。
一般家庭の建築やリフォームの場合には、一度行ったらしばらくは不要。
それに比べて賃貸の原状回復は、長いお付き合いになる、
お客様との信頼関係を築いていく仕事でもある、そこに大きな価値を感じたのです。

今の日本を少しでも良くしていきたい!

今後の目標としては、さらに会社を10社立ち上げて、10人の社長を育てたいですね。
働いている人たちに多くのチャンスを与えられる会社にしたいのです。
15年ほど経営者をやってきましたが、会社経営ほど楽しいものはありません。
もちろん大変なことも多いのですが、それを補って余りある楽しさに満ち溢れています。
私は若い世代の人達にも、そういったことを体験してもらいたいのです。

私が強く感じているのは、今の日本を支えている中心世代の40代~60代が
イキイキと働いていないということ。
「最近の若者は・・・」なんてよく耳にしますが、
そもそも見本となる私たち世代が、見本となるような存在なのか。
そこに大きな疑問を感じるのです。
そう考えると、今の若者に対して、申し訳ないとさえ思います。
バブル時期の日本に比べると、今は明らかに暗くなってしまいました。
おかしな事件が頻発したり、震災の対応がいい加減だったり、ひどいことばかりです。

ただ、そんな日本をどうにかしたいと思っても、私たちができることは微々たるもの。
しかしそれでも何かをやっていかないといけません。
当社は小さな会社ではありますが、
若者にとって、少しでもチャンスを掴める会社にしていきたいと、真剣に考えています。

学生へのメッセージ

若い人たちに限らず、今の日本には「依存心」が蔓延していると感じます。
これが日本をダメにしていく要因ではないでしょうか。
会社に依存、政治家に依存など、そんなことばかりです。

やはり大切なのは「自立」です。
自分の足で歩くという気概を持つこと。
楽しい人生、良い人生を送るためには、自分の足で動くことが必要。
自ら動くのは楽なことではありませんが、その大変さを受け入れないと、
楽しさは生み出されないのです。

大学生の皆さんは、最初はどこかの会社に入って働くと思いますが、
たとえ会社の中であっても自立しなければいけません。
「株式会社自分」、そのような気概を持って働いてください。

そして、就職をすることがゴールではありません。
どのような環境にいても、自分の足で立ち、歩いていくことが大切です。
周りがこうだから、親がこう言ったから、先生が・・・などという考えは捨てて、
自分自身で責任をとるんだという気持ちで頑張ってほしいと思います。