代表取締役社長 山下 寿朗

株式会社ケアプラス 代表取締役社長 山下 寿朗

代表取締役社長 山下 寿朗

株式会社ケアプラス
設立 平成19年12月3日
事業内容
  • 在宅療養者向け『訪問療養マッサージ』サービスの提供。
  • 医療保険によるマッサージ施術に関する請求及び事務代行事業。
  • マッサージ治療院の経営
会社HP http://care-plus.co.jp/

美容院への就職で社会人生活をスタート

私の社会人生活のスタートは美容師でしたが、
もとから志望していたわけではありませんでした。
大学進学も就職も考えないまま高校を卒業し、
将来について考えていた時に、ふと目についたのが美容師。
当時は「カリスマ美容師」が盛んにメディアで取り沙汰されていましたので、
「なんだか面白そうだ」という興味本位で美容院に就職しました。

その美容院では、典型的な下積み生活を経験しました。
テレビなどで見ていた、美容師の華やかなイメージからは、
ほど遠い生活でした。

まず入社から2ヶ月間は、同期15人とともに、
社長の自宅で研修を受けました。
美容師の仕事ではなく、座学で様々なことを学んだり、
皆で食事を作るといった内容でした。
この研修で、共同で仕事をするには役割分担が大切で、
それがきちんとできれば、仕事が円滑に進むということを、
学ぶことができました。

その美容院は4年ほどで退職し、東京に出てきました。
美容院の同期の中では最初にスタイリスト試験に合格し、自信がついたことで
欲が出たからです。
「もっと大きな市場で自分の力を試してみたい」と無理を言って退職しました。

部下を持って働くことの難しさを学ぶ

東京では友人の紹介で、ある程度有名な美容院で
働くことがあらかじめ決まっていました。
その美容院への入社まで少し間があった為、
それまでの期間だけつもりで携帯電話販売のアルバイトを始めました。
ところが、その仕事が非常に上手くいき、
高く評価を受けた為、社員に登用されました。
その後店舗を任されたところ、またまた好成績。
さらに地域のマネジャー職まで引き上げられました。

それが23歳頃でしたが、所得も一気に上がり、
「もらい過ぎなのではないか」という状態になりました。
そうなってしまうと、「もう美容師なんてやっていられない」と
思ってしまい、美容師を続ける事はやめていまいました。

しかし、そう順調には進まないものです。
部下が増えてくると、自分の考えだけでは上手くいきません。
私自身ができるのだからと、同じ感覚で部下に伝えていったら、
人がどんどん辞めてしまいました。
その時には、それぞれの立場や考え方を理解することの
大切さを学びました。
それ以来、自分がどう思うかよりも、客観的に物事を見るように
常に努めています。

異業種の事業を経験

そのような様々な困難を乗り越えながら働いていましたが、
会社が不安定な状況に陥り、リストラが始まってしまいました。
そんな時に親族からITソリューションの会社を紹介されました。
当時は、まだ携帯電話でメールができるかできないかという時代であり、
i-modeという言葉も世に出始めたばかりでしたから、
「ITソリューション、面白いのでは?」と転職を決めました。

その会社では、携帯電話のアプリ開発事業をすすめるはずでしたが、
資本力が足りず、時代も早すぎたということで、事業が頓挫してしまいました。

そこで、「何か新しいことをやろう!」と考え、
他の社員5~6人を引き連れて一から起業することにしました。
そうして始めたのが、フリーペーパーの事業です。
このフリーペーパーは、とても好評でしたし、かなりの発行部数がありましたが、
もともとの資金計画に、甘い部分があり、
1年足らずで元手資金が底をついてしまいました。
営業上は黒字でもキャッシュフローがショートしている状態になり、
フリーペーパー事業は、泣く泣く終わらせることとなりました。

訪問マッサージ事業に活路を見い出す

次に手がけたのは、フリーペーパーに広告を掲載したことがきっかけで知った
「訪問マッサージ」のフランチャイズ(FC)事業でした。
当時は介護保険が始まって2~3年で、在宅介護の需要が急増していた時でしたから、
高齢者や障がい者のご自宅にマッサージ師が訪問し、医療マッサージを
施すというサービスが今後はとても重要な事業になるだろうと考えたのです。

ところが、我々が手を組んだ訪問マッサージのフランチャイザーは、
マッサージ師や治療院など、全国に50~60ものフランチャイジーを
作っていたのですが、その方達へのお金の立替え業務など、
大事な本部機能が全くできていない状態でした。

そこで、FC制を解消し、その当時介護業界の大手だったコムスンの子会社として
2004年に訪問療養マッサージ事業を再スタートしました。
コムスンの事業所は、離島も含めて全国各地にあり、
既にコムスンで介護サービスを受けている方を紹介してもらえましたから、
事業はどんどん成長していきました。

しかし2006年に、いわゆる「コムスンショック」が起きた為、
グループ自体が介護事業から撤退することになってしまいました。
そこで私たちはコムスンから会社を買い戻し、株式会社ケアプラスを設立しました。

高齢化社会を見据えたビジネス展開を目指す

現在、当社の社員数は約130人。
そのうち約60人がマッサージ師で、
その他は営業職である相談員、保険請求の事務を行うサポートスタッフ、
本社の事務スタッフや管理職です。
社員以外にも、全国各地で提携契約をしているマッサージ師の
方々が300人ほどおり、社員のマッサージ師だけではサービスの提供が
まかないきれない利用者をその方達にお願いしています。

今は高齢化が進み、本来は病院で提供すべきリハビリ等のサービスが追いつかなくなっています。
また、将来的には少子化によって若い世代が減少していくこともあり、
医療・介護の財源が少なくなっていくことも確実です。
そうなった場合、介護などのサービスにも限界がきてしまうことでしょう。

私は、今後日本は、社会保険制度をできるだけ使わない方向に
向かわざるを得ないと思っています。
高齢者も含め、病院などにかかった際には、その分を自費で払う、
本人が払えなければ家族で支えあう、そういった文化を作っていかないと、
日本は立ちゆかなくなります。
だからこそ、そこに合ったサービスを提供していくことが、
今後の世の中のためには必要なことだと考えています。

学生へのメッセージ

若い人達には、「勉強できるうちにたくさん勉強をした方がいい」と言いたいです。
私は、自分が若い頃に勉強していなかったことで、
ずいぶん悔しい思いをしました。

たくさん勉強して、その上で自分がどうなりたいかを考えなければいけません。
また、自分の主観だけではなく、客観的に世の中を見て、
その上で自分に必要だと思う勉強をして欲しいと思います。
イヤだと思いながらも勉強できるのは、学生のうちだけですよ。
働き始めると忙しくなって、勉強したくてもできなくなってしまいます。

そして、勉強するなら徹底的にしないと意味がありません。
自分が社会に出た時に役に立つよう、徹底して準備をするという意味で、
興味を持った事全てを今のうちに勉強した方が良いと思います。