代表取締役 松澤 攻臣

株式会社セゾン保険サービス 代表取締役 松澤 攻臣

代表取締役 松澤 攻臣

株式会社セゾン保険サービス
設立 1925年10月
事業内容
  • 損害保険代理業
  • 生命保険媒介業
  • リスクマネジメントに関するコンサルティング業
会社HP http://www.saison-hoken.co.jp/

企業の再生に情熱を傾ける

私は、安田火災海上保険(現損保ジャパン)で専務取締役九州・沖縄本部長
などを務めた後、セゾン自動車火災保険の社長に就任しました。
安田火災で地方拠点の立て直しなどを手掛けた実績はありましたが、
セゾン自動車火災は、経営内容が大変厳しい状況でしたので責任は重大でした。

そこで様々な改革を始めるのですが、まず取り組んだのが新卒採用。
セゾン自動車火災では、私が入る前の5年間は新卒採用をしていませんでした。
しかし私は、すぐに採用開始を決めたのです。
なぜなら、この会社には新陳代謝を計ることが大切だと感じたからです。
私はこのことをよく木の葉に例えるのですが、木の葉は秋になり自分で落ちるの
ではありません。実は新芽が出てきて、押し出されて落ちるのです。

2002年当時は就職氷河期でしたが、10数名を採用しました。
その後も毎年7~8名ずつ採用し、今やその時のメンバーが
会社の中核を担うまでになっています。

さらにどん底の会社の立て直しを引き受ける

セゾン自動車火災で7年間ほど勤め、もう現役を引退しようと考えていた時に、
この会社の立て直しを頼まれました。
どうしようかと1ヶ月間悩み続けましたが、引き受けることにしました。

当時は「株式会社ぺトラ」という社名で保険代理店業務をやっており、
実情は「瀕死」とも言えるような状態。
しかし、やると決めたからには命をかけてでもやろう、
そういう決意で2009年5月に着任し、早速改革を始めました。

まず始めにやったのが、社名の変更です。
「ぺトラ」という名前では何の会社なのか分かりづらいですから。
社名を「株式会社セゾン保険サービス」とし、更に、経営理念を作り、
中期経営計画を立て、新卒採用をしました。

新卒採用に関しては、セゾン自動車火災の時と同じ考えでした。
ところがこの会社では、過去13年間も新卒採用をしていなかったのです。
だから誰ひとりとして新卒採用のやり方が分からない。
そこで私が率先垂範で新卒採用対応業務を社員に指導したり、会社説明会にも
出たりしながら、去年は6名、今年は5名、そして来年は4名が入社予定です。

これからの企業、そして日本に必要なのは「人財」

当社の経営理念には、社員は「人材」ではなく「人財」としています。
これは要するに、社員を資源と見るかコストと見るかということで、
私は資源として見ています。

小さな島国で、資源も何も無い日本が、なぜ世界有数の経済大国になることができたのでしょうか。
それは「人」が資源だったからです。
ただ、残念なことに最近は、それが劣化しているように感じますし、
それによって日本の将来への不安も抱いています。
このままでは、日本も日本人も駄目になってしまうのではないかと危惧しています。

当社においては、「松澤塾」というものがあります。
働くこと、生きることとはどういうことか。
挨拶などの基本をはじめ、5Sの実践、コミュニケーション(通心)のあり方など。
そして仲間と切磋琢磨していく大切さなどを教えています。

私は、社員には仕事を通じて喜びや生きがいを感じてほしいと思っているのです。
そのためには人間としての土台ができていないと、上手くはいきません。
仕事のやり方というのは、その人の生き方や考え方にリンクしてくるものだと思っています。
時間がかかったとしても根っ子が大事なので、それを教えていきたいのです。

顧客満足のために尽くすことが企業としての存在価値

では「仕事で喜びを感じる」というのは、どのようなことなのか。
それは、人の役に立つこと。
仕事で役に立ってお客様に喜んでいただく、その報酬がお給料なのです。
だから、お給料というのはお客様から頂くものです。
この基本を忘れてはいけません。

当社の事業で言えば、真の意味でお客様に喜んでいただくためには、
「保険を売る」という考え方をやめなければいけないと考えています。
大事なのは、お客様が抱えている問題や悩みを解決する
「ソリューション業」に徹すること。
保険とは、そのソリューションをお客様に提供するための「手段」。
つまり我々の事業の目的は、「お客様の問題解決=お役に立つこと」です。

保険会社や代理店にありがちなのが、「保険の売り上げ」が
一番の目的になってしまっている状態です。
本来は、お客様の役に立つために保険を売るのであって、
売り上げをアップさせることが目的になってしまってはいけないと思います。

保険という手段でお客様の役に立ち、喜んでいただくこと。
これが当社の企業としての存在価値であると考えています。

お客様の役に立ち、やりがいと誇りを抱くことができる会社にしたい

代理店というと、従来は保険会社の代理店でしたが、
これからは「お客様の代理店(購買代理)」という業態に変えていきます。
単に保険を売るのではなく、リスクコンサルティングやライフコンサルティングを通じて
法人や個人のお客様のニーズに応えるいうイメージです。

「保険屋」などと呼ばれていた時代もありましたが、もっと代理店の価値を高めて、
公認会計士や税理士といったステータスまで、引き上げていきたいですね。
法人や個人のお客さまからも信頼され、選ばれる代理店になる、
そのために社員は、もっとたくさん勉強し、人間的にも能力的にも自分を高めなければなりません。

また、社員にとっても、やりがいや生きがいを感じる仕事であることが大事です。
会社の大小やネームバリューなどは関係ありません。
お客様の役に立つことへの喜びを感じて、自分の会社を誇りに思う、
そのような会社にするのが私の夢です。

私は、大企業である安田火災(現損保ジャパン)から、600名のセゾン自動車火災へ、
そして今は72名のセゾン保険サービスへと移り変わってきました。
会社規模こそ小さくなっていますが、今が一番やりがいを感じています。

学生へのメッセージ

最近の学生は安定志向が強いですね。
しかし企業というのは、変化に対応できないと生き残れません。
今の安定を壊してでも次の安定を求めイノベーションを繰り返していかなければなりません。
会社を選ぶ時に忘れてはいけないのは、「就職」が大事だということ。
「就社」ではないのです。

要は、会社に入ることが目的ではなく、入ってから何をするのか、
仕事に対して生きがい、やりがいを感じることができるかどうか、
それを考えることが重要なポイントと言えます。

ただ、今は非常に厳しい中で就職活動をしていることでしょう。
10社も20社も30社も断られて、挫折感を味わう人も少なくありません。
しかしそれは、自分を見つめ直し、自分と対峙する良い機会でもあるのです。
多くのつまずきがあっても自分を責めず、前を向いて諦めないでください。
人生は捨てたもんじゃありませんよ。
新しい出会いがあることを信じて前へ進むことが大切です。