専務取締役 渡辺 博之

株式会社エクスモーション 専務取締役 渡辺 博之

株式会社エクスモーション 専務取締役 渡辺 博之

株式会社エクスモーション
設立 2008年9月1日
事業内容
  • プロジェクト診断(問題発見と改善策の作成・提案)
  • 現場支援(改善策の遂行に必要な技術支援)
  • 現場で活用できるスキル習得のための
    実践的コースの提供
  • ソースコード診断ツール「eXquto
  • UMLからSimulinkへのモデル変換ツール「mtrip」 など
会社HP http://www.exmotion.co.jp/

理系の学部を卒業するも、営業マンとして就職

大学の専攻は工学部でしたが、勉強よりも大学生協の
理事会活動に没頭した4年間を過ごしました。
理事会の運営組織には1年から入り、他のサークルに
参加することもなく、4年生までフルに活動していたのです。
だから4年で卒業できたのもギリギリでしたし、おそらく成績も
最低に近かったでしょうね(苦笑)。
その代わり、大学生協の活動と通じて、物事に対する考え方や
自分の考えのまとめ方、相手への伝え方など、多くのことを
身に付けることができ、これらの経験は社会人になってから
かなり役立っています。

当時はバブルのもっと前の、とても景気が良い時期でした。
そのため、特に理系の学生は就職に際しては
何も困ることはなかったんです。会社訪問などをしなくても、
研究室の中だけで大手メーカーの内定がもらえるような状態でした。
しかし私は、ろくに勉強をしていなかったので、
エンジニアになることをイメージできませんでした。
そこで単独で会社訪問をして、商社の営業職で内定をもらいました。

その商社では2年間、まさに「営業マン」として
機械を売る仕事をしました。
2年で辞めたのは、商社での営業の仕事に虚しさを感じたからです。
というのも、私が営業をして機械を買ってもらっても、その先は
エンジニアと製造メーカー担当者が話を進めていくことになります。
その段階になると営業マンは、することがありません。
それがとても虚しく感じられ、「やはり技術ができないといけない」
と思いました。
そこでエンジニアになるべく転職をしたのです。

製造業向けのコンサルティングに重要性を見い出す

エンジニアの世界に入って経験したのが、製造業の非合理的な開発手法。
「これはおかしい」と感じることが、たくさんあったのです。
しかし、もっと合理的なやり方があることに気づいたので、導入を
進めていきました。
これがとても上手くいき、やはり開発にも合理性が必要だと
分かってきました。

そのようにして仕事をしていくうちに、
「合理的な開発手法を導入すること」の重要性を痛感し、
そこに特化して働きたいと思うようになってきます。
そこで、開発手法にも力を入れているソフトウェア開発会社へ2度目の
転職をしました。
そこでは主に製造業のお客さま相手に、ソフトウェアの開発技術についての
技術コンサルティングを行いました。
その中で感じたのは、技術コンサルティングという仕事の重要性です。
製造業のお客さまは、納期に追われ日々の製品開発に
没頭されているため、外部からの刺激が少なく、技術的に孤立しがちです。
われわれのような、外部から技術を持ち込んで刺激を与える役割はとても
重要に感じました。

しかしその一方で、コンサルティングという仕事は、そう簡単なものでは
ありません。
私たちが行っているコンサルティングとは、
製造業の方々相手に、それまでとは違う手法の導入を行うということ。
だから、相手の話を聞く、問題点を聞き取る、相手を説得するなど、
開発者としてのスキル以外に様々なスキルも必要となり、
仕事の中身も変わってきます。

やがて本業である開発業務と継続することの難しさを痛感し、
コンサルティングに特化した会社を作ってやっていきたいと思う
ようになりました。
そこで色々と模索していた時に、以前から知り合いだった
(株)ソルクシーズの長尾社長から声をかけてもらい、
会社の立ち上げにつながりました。

お客様と感動を共有したいという思いを持ち続ける

当社のコンサルティング業務は、問題解決の技術を提供し、
それと共にお客様にその技術を伝えていくというもの。
つまり、お客様がこういう問題で困っている、
それには当社としてはこういう技術がいいですよ、と。
しかし、お客様側はできないので、当社のスタッフを入れ、
一緒にやっていきます。

コンサルティングというと一般的には、「こういう技術があります」と
説明をして終える会社が多いのですが、
我々の場合には、その技術を実際に現場で適用します。
要は、お客様の問題点を聞いた上で提案して終わりではなく、
その提案に沿って実行もするということです。
そして効果を出して、お客様側にも技術を身につけていただき、
それを見届けて引き上げるのが我々のやり方です。
このようにして我々が提供している技術は、
絶対に必要だと社員全員が確信をしています。

お客様に対しては、持っている技術を全部ぶつけていくくらいの
気持ちでやっています。
その中で最も大切なことは、結果を出していくこと。
このような新しいやり方というのは、結果を出さないと
信じていただくことはできませんから。

結果が出ると、大きな感動と達成感を味わうことができます。
我々もお客さまもエンジニアであり、
問題に対しては一緒に「どうしようか?」と考えるので、
解決した時には感動も達成感も共有できるのです。
長いこと患っていた病が、新しい治療法によって
半年で治りました!という感じですね。

実はこの「感動」が、社名の由来です。
「エクスモーション=eXmotion」という社名は、
「感動=emotion」と「X=幾重もの、最大限」という
2つの言葉を組み合わせて造りました。

やりがいを求めて若い人に挑戦してほしい

我々は、新しい技術を取り入れてはいますが、
「絶対にこの技術」というこだわりは、それほど強くありません。
合理的にできるなら、どのような技術でも取り入れていきます。
やはり、その時々の技術の進み方、景気などの
様々な要因によって状況は変わってくるので、
その時に最適な技術を使っていかなければいけません。
「この技術」ではなく、「役立つ技術」を常にキャッチアップして
自分たちで提供できるようにしていきたいと考えています。
また、いつどのような技術がくるのかは読めないので、
何がきても適応できるようにしておくことも大切です。

そして、これからは新しい人材も入れたいと考えています。
今いる14人は、とても「コア」なメンバーで、
例えて言うと「カルピスの原液状態」です。
濃い技術は提供できるのですが、
色々な企業に自分たちの技術を広めていくためには、
彼らの技術を受け継げるメンバーをもっと増やして、
「カルピスウォーター」にしていきたいと思っています。

簡単な仕事ではありませんが、エンジニアとしての技術は
入社してから習得できるので、その部分は問いません。
それよりも必要なのは、物事を俯瞰的に見ることができるスキル。
この仕事は、何をどうやっているかという構図を
しっかりと捉えていかなければいけないからです。
つまり、「問題を解く力」というよりは、
「問題がどうなっているのかを見分ける力」が、より必要とされます。

少しハードルが高いかもしれませんが、
その分やりがいがあることは間違いありません。
コンサルタントの仕事も、メーカーのエンジニアと一緒に
技術開発をするエンジニアの仕事も同時の経験できてしまうという
おもしろさもあります。
日本の名だたる企業の中で活躍できるので、
若い方々にも積極的に挑戦してほしいと思っています。

学生へのメッセージ

最初から自分の理想を追ったり、計画をきっちり立てるよりも、
多少は流れに身を任せてもいいのではないでしょうか。
内定が出たら、その会社で一生懸命やっていると、
自分の良いところが評価されるものです。
早いうちから、「好きなこと」「一生の仕事」などと考えて動くより、
まずは早く社会に参加することをおすすめします。
そして自分の何が人よりも評価されて、どこが良いのかを見つける、
その部分を伸ばしていくことが大事だと思います。