代表 トップデザイナー 丸山 聰

有限会社ソラ 代表 トップデザイナー 丸山 聰

代表 トップデザイナー 丸山 聰

有限会社ソラ
設立 2001年12月(創業1994年2月)
事業内容
  • オリジナルジュエリーの企画・製造・販売
  • フルオーダージュエリーブランド
    「studio SORA」の運営
会社HP http://www.sora-w.com/

幼少の頃から、ものづくりが大好きでした

幼稚園児の時から、工作をするのが大好きでした。
 とにかく手を動かすのが大好きな子で、木を削ったり、絵を描いたり、
粘土細工で怪獣を作ったりすることに熱中しました。
ものづくりが好きになったきっかけとして、
今思えば幼稚園の時に粘土が身近にあったのが大きな要因だったと思います。
 小さい頃は柏に住んでいたんですが、あのへんの土質は関東ローム層で、
少し掘ると粘土が出てくるんですよ。
乾かすと岩のようにカチカチになるので、
自分で作った構造体が石彫のようになるんです。
「これを使えば立派な基地ができるぞ」と気付いて、
粘土とモーターを組み合わせて作った「ロボット怪人」で、
世界征服をしようと思っていました。

大学講師を経て、彫金教室を起業

 大学は、美術大学の工芸科に進んで、
彫金という金属を扱う工芸を専攻しました。就職活動は、しなかったです。
会社に就職しようと思ったことは一度もないですね。
 卒業後は美術大学の講師をしていて、彫金を教えていました。
自分でいうのもなんですが、非常に人気のある授業で、他の科の学生も、
出なきゃいけない授業をサボって僕の授業に出席するくらいの人気だったんです。
 「これはビジネスになるな」と、その時思いました。
学校で給料をもらって教えているより、自分で事業としてやったほうが、
よっぽど自由にできると思いましたし。
それで1994年に彫金の教室を始めて教えるようになりました。

「教えること」と「ものづくり」の共通点

僕自身、もともと「人に何かを伝えていく」ということに、
意欲を持っていたのはまちがいないですね。
ものを作る人って、だいたいそういう部分を持っていると思うんですけど。
 「人がびっくりする」というのが、とても喜びなんですね。
僕が作った作品で人をびっくりさせるというのも、もちろんあるんですが、
生徒さんに「自分にもこんなことができるんだ」という驚きに直面してもらうのも、
僕としては非常に快感です。
 例えば彫金って、どこか知らない工房の特殊な技術を持った職人さんがやらないと
できないというイメージをほとんどの人が持たれていると思うんですけど、
ほんとにちょっとした工具と挑戦する気持ちがあればできるんですよ。
そこには、生徒さんがそれまで持っていた既成概念が壊れていくという過程が
見えるんですね。
だから作品作りそのものも、作品作りを教えるのも、
僕にとっては同じ「驚きを伝えられる」ことなんです。

「物語」が価値を生む

 彫金教室は、一番多いときで生徒さんが150人くらいいた時もあったのですが、
2009年に閉めました。
 今はオーダーメイドのブライダルジュエリーに特化して事業をやってます。
社内の工房にカップルで来ていただいて、
実際に手を動かしてマリッジリングの製作に参加していただく
というコースがあるんですが、そこには初期の思いが色濃く息づいているというか、
生かされていますね。
手で素材に触れて、材料が形を変えていく過程というのは、
お客様にとっては驚きですし、喜びにもなるんですね。
 僕が常々思うのは、そもそもモノというものは、
何か「物語」がないと価値を生まないということです。
もちろん貴金属や宝石のようにそこに転がっているだけで
価値を生むものもあるのですが、
「希少である」というのがすでにストーリーであると思いますので。
 自分の手を動かしたもの、手間ひまをかけたもの、
時間と空間をともにしたというものというのは、
かけがえのないという意味でその人にとって希少性のあるものですし、
大切な者を生む条件だと思います。
やっぱりものを作るなら少しでも価値の高いものを
残したいというのが当然じゃないですか。
 また、うちの会社のモットーとして「生み出すことの喜びを未来に伝える」
というのがあります。ものを生み出すのは過程にすぎないんです。
その過程を通じて、その人の友人であるとか家族に喜びを伝えて、
連鎖反応を起こしていくというのが、すてきなことだと思っています。

お金儲けは本来の目的ではない

お金を儲けるということ、
それによってうちのスタッフが豊かになっていくというのは大切だと思っていますけど、
僕の中では目的だとは思っていません。
 お金儲けが目的になると、本来の目的を見失って、
流行を追いかけた即物的な欲望にフィットする
商品をつくろうという方向に行きがちになります。
それは私のつくりたいものと相反するのです。
 仮にお金と時間がいくらでもあったとしても、
やっぱり私は糸ノコをかけたり彫金をしていると思う。
今やっていることと同じなんですよ。

感じたいのは、「ものを作る喜び」

僕がモノを作るのは、何よりも幸せを感じるから。
作っている時は手も痛いし、イヤなことも多いですけど、
何かの瞬間にパッと光が差すというかな、次のステージに上がった感じというか、
そういうのが明確にあるからですね。
ものを作る人は、より強い快感を求めて、モノを作り続けているような気がします。
 ものを作るうえのアプローチは人によっていろいろあると思うんですけど、
僕のものづくりは素材を抜きにしては語れないです。
いろんな素材を扱って、素材と対話をしつつその個性を引き出して行く
というのがとても大事なことだと思うんです。
 最近では「やりたいことがわからない」そういう学生さんも多いですが、
それは本当に悲しいことだと思います。
そういう学生には「東急ハンズで、粘土を買ってきなさい」と言いたいですね。
粘土をこねて…別に粘土じゃなくてもいいんですが…
何かを作る喜びを味わってもらいたいと思います。