代表取締役社長 松本 享

株式会社プログラミングファスト 代表取締役社長 松本 享

代表取締役社長 松本 享

株式会社プログラミングファスト
設立 2000年
事業内容
  • ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)事業
  • 携帯電話向け情報システム
  • Webアプリケーションの企画開発
  • インターネット関連サービスのコンサルティング
  • Webサイト・コンテンツのプロデュース
会社HP http://progfast.jp/

不動産屋のバイトで経験を積む

長崎の出身で、佐世保工業高等専門学校で電子制御工学科に所属していました。
情報工学とロボット工学の間のような学科で、その頃から、ソフト開発に興味はありましたね。

佐世保高専は、当時、3分の1が大学に編入学し、残りは就職組で、
僕自身も、もともとは就職するつもりでした。ところが、専門科目の成績が良かったので、
先生から「大学へ行ってみてはどうか」と勧められたのです。
数学や物理が苦手だったので、大学の編入試験は苦戦したのですが、
専門科目が一問だけ出題される、福井大学に合格します。
網羅的に勉強して受験するよりも、得意分野での一発勝負で乗り切る、
といった方が得意なんです。

企業に就職した経験はありませんが、
不動産屋でバイトをしたことがとても良い経験になりました。
最初は、データ打ち込みの仕事だったのですが、やっていくうちに、
データベース化した方が良いと思って、不動産管理システムを作り上げました。

システムだけではなく、賃貸の営業もやっていました。
もともとの仕事ではなかったのですが、何でも興味があるので、やってみようと。
家賃の滞納やクレームなど、いろいろな事態が起こるので、
社会人経験はここで積みました。

不動産屋でシステムを作っていると、他の人から、
「うちのシステムも作ってほしい」と依頼が来るのです。
これを会社としてやったら、楽しいだろうな、と思っていました。

ソフト開発会社を設立

大学院の1年生だった2000年5月、同じ研究室の仲間と、
その後輩の3人で「有限会社シャフト」を立ち上げます。
研究室の仲間がバイトをしていた、福井で最大手の
ホームページ製作会社の社長に支援してもらいました。
3人とも学生で、僕が不動産のシステムを手がけ、
残りの2人は求人サイトのシステム開発や、チャットなどを手がけていました。
ネットのシステム開発は面白いし、3人が集まれば、何か出来るだろうから、
一緒にやろうと起業したのです。
最初に3人でやったのは、モバイルのコンテンツ関連のシステム開発です。
携帯で簡単にホームページを作れるソフトがあればいいな、と思ったのです。

始めは請求書の仕組みも良くわからず、
「どうやってお金をもらうんだ」と悩んでしまうようなありさまでした。
ビジネスを組み立てる能力が低かったのです。
ただ、3人で集まってはみたものの、各自がやりたいことは企業向けだったり、
個人向けだったりと別々で、方向性が定まらず、起業した翌年には、
後輩が抜け、最終的には3人とも別々の道に進むようになりました。

東京へ進出

携帯向けの共通変換言語を発売したところ、
福井ではほとんど反応がありませんでした。新聞に取り上げられたので、
問い合わせは多かったのですが、大半が東京の会社からでした。
そこで、福井だけにとどまっていてはダメだと思い、東京に事務所を開設します。

その頃は、自分で営業をして、開発もしていました。
不動産屋で営業をしていた経験はありますが、ソフトの営業は不動産よりも難しい。
商品を見せるだけではなく、話を詰めていかないと、成立しないのです。
1日に何軒も営業に回りましたが、なかなか実を結びませんでした。

福井では、昼間はお客様の対応に追われてソフト開発ができないので、
電話がかかってこなくなってから、プログラムを作り始めます。
朝の5時まで仕事をして、新幹線の中で寝て、東京で営業活動をするというサイクルでした。
福井から東京までは新幹線1本で行けないので、
乗り継ぎの時には、半分眠ったままで、夢遊病のようでしたね。
さすがにこの状態が続くと厳しく、東京に常駐するようになりました。

世の中の資産となるシステムを開発したい

2004年には社名を「プログラミングファスト」に変更し、
翌年、社長に就任するとともに、東京に本社機能を移しました。
会社を設立して12年目ですが、最近になって体制の見直しに取り組んでいます。
「システム開発が楽しい」という気持ちだけでやってきて、
お客様のシステムを作って喜んでもらっているのですが、社員の幸せを考えると、
「もっと、儲かるようにしないといけない」という思いが強くなってきています。
会社が儲からないと、いったん作ったシステムに再投資して、
継続的に成長させることができません。
再投資できるモデルを作り上げないと、お客様も不幸です。
お客様の喜びと社員の喜びを両立できる道をさぐっています。

まず、お客様の要望に合わせて、
システムをつくっていたのを、止めようとしています。
今までのやり方では、自分たちの資産として残りません。
自分たちのシステムを作り、それをお客様に使ってもらうことで、
世の中の役に立ちたいと思っています。

実は、システムを成長させていくのは難しいのです。
モノを買うようにシステム開発を安易に依頼し、トラブルになっているケースは多いです。
特に、ネット系のシステムはその傾向が強いように思えます。
まず、自分達の幅を広げるような仕事を社内でして、使い捨てのシステムではなく、
世の中の資産となるような開発に取り組んでいくつもりです。

右腕になってくれる人を求む

僕自身、就職をしたことがないので、学生にアドバイスをしにくいのですが、
社会の仕組みをしっかり見抜いたり、感じ取ったりする会社は儲かっています。
学生にとっては難しいことですが、良い仕組みを持った会社を探す努力をするのが良いと思います。

当社には、自分の技術で世の中に影響を与え、
良くしたいという気概をもった技術者に来てほしいですね。
技術者として素晴らしいものを持っているが、内向的というタイプの人もいて、
わが社には両方のタイプがいるのですが、今は、外への働きかけができる人を求めています。
技術的に頼りになる人はいますが、僕の右腕になってくれるような人に来て欲しいと願っています。