代表取締役 吉田 大介

株式会社エーアイ 代表取締役 吉田 大介

代表取締役 吉田 大介

株式会社エーアイ
設立 平成15年4月
事業内容
  • 音声合成システムにかかわるソリューションのご提供
  • 上記導入にかかわるコンサルティング・周辺システム
会社HP http://www.ai-j.jp

エーアイを立ち上げる前のこと

ATR(株式会社 国際電気通信基礎技術研究所)で広報販売に携わっていました。
ここは電気通信技術を半民半官で研究している会社で、
当時、国から潤沢な研究資金が投下されていたのですが、
そのわりには研究成果が見えないと思われている状態でした。

いくら良い研究を行なっても、その研究成果に 対して
お金を払ってくれる人を見つけないと利益は出ません。
これは営業面をもっと強化していかなければならないということで、
以前からお世話になっていた方に、ATRでの広報販売部門に来ないかという話を
もちかけられたのがATRに入社したキッカケです。
半官半民で特殊な会社なので広報販売のシステムが出来上がっておらず、
私が行けば一からスタートしなければいけないのですが、
逆にそれが面白そうだと思い入社を決めました。

音声合成技術との出会い

ATRでの私の仕事は、研究開発された新しい技術を
ライセンス契約してくれる顧客を探すことでした。

そんな中で出会ったのが音声合成技術です。
これは人の声を素材にして新しい音声を作るという技術で、
まず人の声を母音と子音の音素に分けていきます。
そこで音の高さや、長さ、前後のつながりを組み合わせて
新しい音声を合成するというものでした。
まずは元になる音声データを集めておく必要がありますが、
一旦音声データを集めてしまえば、後からそれらのデータを分析、調整し、
組み合わせることによって、あたかもその人が喋っているかのような
音声を合成していくことができるのです。大変面白い技術だと思いました。

この技術を利用して、宝塚スターの春野寿美礼さんや安蘭けいさんが
天気予報を読んでくれるというコンテンツを作ったことがあります。
この音声データは阪急電鉄のホームページにアップされていたのですが、
当時、かなり話題になり、本人が毎日吹き込んでいるわけではないのですが、
「春野さんは毎日天気予報を読んで大変ですね」というお便りがファンから届いたこともあります。
合成とはいえ不自然さはみじんもなく、ファンが聞いても本人が喋っていると思うほど
完成度の高い技術です。

音声合成技術を使えば、他にも色んなことができると思います。
憧れのアイドルの声で本を読んでもらったり、子供の声をデータ化して、
その時の写真と組み合わせて聞けるようにしたりとか・・・ 
21世紀の文化は音声技術で花開くんです!

会社設立のきっかけ

音声合成技術にすっかり惚れ込んでしまった私は、
この技術をもっと世に広めていきたいと思うようになりました。
しかし、ATRが求めるのは、あくまで技術のライセンス契約でした。
一時金としての技術使用料ではなく、ライセンス契約した上で
ロイヤルティを支払わなければいけない、というのがユーザー側では
ネックになってしまい、なかなか売れませんでした。

そんな折、電話会社での需要を掘り起こすことができたのですが、
彼らが求めたのは共同事業。半官半民であるATRで事業を行なうには
色々な制約もあったため、独立することにしました。
独立を決心した時に不安がなかったといえば嘘になります。

今まで会社員としてずっと働いてきていたので、
本当に独立してやっていけるのだろうかという思いはありました。
当時、娘が大学2年生で教育費もかかっていました。

今後の展望

当社の音声合成技術は防災情報、Eラーニング、電話のガイダンスなどに使用されています。
音声は動画などのメディアと一緒に使われることも多いのですが、
話題になるのはたいてい動画メディアの方で、音声はどちらかというと
黒子的な存在なんです。世間では、エーアイの名前は認知度が低いので、
たくさんの人に知ってもらえるようになりたいと思っています。

今、進めているのはスマートフォンアプリへの音声合成技術の組み込みです。
特にゲームでは色々な音声を使いたいというニーズが大きいので、
スマートフォンで実績を作って、それ以外のメディアへも拡張していければと考えています。
カーナビやテレビなんかの電気製品も、社会の高齢化とともにお年寄りにも
使いやすいような音声での説明機能が重要になってくるんじゃないかと思っています。
テレビの番組案内や操作説明なんかにも搭載していきたいですね。
また、1人の音声を合成しようと思うと90万円~500万円かかってしまうのが現状ですので、
今後はコストを下げて、色々なメディアで使いやすい技術にしていくことが必要だと思っています。

求める人材

エーアイには22名のメンバーがいます。
音声合成エンジンの開発拠点は京都にあり、東京では商品開発・音声辞書作成を行っています。
開発メンバーは合計16人です。開発については体制が整ってきました。
営業に携わっているのは2名、プロモーションは1名ということで人数も少ないので、
今後は営業・プロモーションの強化をしていきたいと思っています。
営業をやっていく上で特に重要なのはコミュニケーション能力だと思います。
エーアイの営業は、大企業のように体制が整っているわけではありませんので、
自分で考えて動くことができる、というのが重要ですね。