代表取締役 橋本 太乙

株式会社六星社 代表取締役 橋本 太乙

代表取締役 橋本 太乙

株式会社六星社
設立 1968年3月
事業内容
  • ビジネスホテルの運営 
会社HP http://tbh.co.jp/

人生思い通りではありません。

京都出身で、当時、自由な校風で有名な桂高校に通っており、
授業の調整が自分たちで出来たので、平日もよく旅をしていました。
振り返れば世間知らずでしたが、その旅を通して大人の人たちと交渉したり、
助けて頂いたり、あるいは情報を頂いたりの、コミュニケーション力を付けたことや、
旅先での非日常的な出来事の対処や、
また感動を得たことは後々の人生で非常に役立っています。

家庭の事情で高校卒業とともに働くことになり、
親せきが立ち上げたビジネスホテルに入社。
8年で4億円の借入も無事返済し、退社。
学生の頃から希望していた学者の道に近づくべく美術写真撮影を学び、
その写真撮影の会社を設立。
写真撮影で生計を立てることは出来ましたが、結果、学者にはなれませんでした。

会社設立10年のとき、ビジネスホテルを経営していた叔父が急逝。
株主会議の結果、父が代表取締役に就任。
しかし父は京都で医師をしており、日常実務が難しいということで
常務取締役として私が再入社することになりました。

再建のためにホテルへ出戻り

私が離れていた10年の間にビジネスホテルは10億円近い負の財産を持ち、
まさに解散か再生かの選択の中でのスタートでした。
解散をするにも社員の方々の退職金も手立て出来ない状態。
再生する為、社員の方々と何時間も話し合いました。
先駆けて定年を60歳にしたことも、その後の再雇用をすることも、再生の一環でした。
「幾つになっても元気で働くことが出来れば再雇用をする。」というのも
その時に作ったルールです。
いままでの最高齢者は84歳現役社員です。
建物の老朽化と時代遅れのシステムの為、
その手立てに追われ最初の7年くらいは休みがありませんでした。
ただ幸運なことに銀行の協力と素晴らしい社員の方々との出会いに恵まれ、
解散はおろか、より発展的に、その7年で売上は2倍以上になり、
負の財産は半分以下にすることができました。

人材が強み

ホテルの財産は「人材」とよく言われますが、当社の強みも同じです。
社長の私が口にするのもおかしな話ですが、
良い人材であれば、上があれこれ言わなくても、勝手に成長していくものです。
そこに年齢は関係ありません。

今、当社では23歳の管理職社員がいます。
年齢は23歳ですが、57歳の私より「ハッとするような」素晴らしい仕事をしてくれます。
以前、35歳で支配人になった女性社員も、
最初は学生アルバイトとして働いていたのですが、
閉まっていた喫茶スペースを「何とか有効活用できないか?」との提案。
原価計算を含む採算のことなど、夜通しで「企画書」を作成して、私の所へ持ち込んできました。 
<朝、喫茶スペースでコーヒーを無料サービス>という内容でしたが、
「前日に嫌なことがあっても、朝美味しいコーヒーを無料で飲めたら
嫌なことを少しは忘れて頂けるのでは」とのこと。
なるほどと思いました。
そして驚くことにまだ学生であった彼女は
「よろしければ私がします」と登校前に会社にきて、コーヒーサービスを始めました。
彼女は中国からの留学生で、日本の大学を卒業した時には28歳。
年齢で新卒での就職が難しいとのこと、優秀な人材であることは
上記の通り良く分かっていましたので当社に来ないか?と打診したところ、
ぜひにということで、当社に入社。
元々が優秀ですから指導は全くしていません。
自分ですくすくと伸びていきました。 
そして売上をどんどんと上げることが出来ました。

一つの例ですが、彼女はヨーロッパからのお客様ひとりひとりに御礼状を書きました。
それだけですが、その方々は口コミで次々と当ホテルを知人・友人に紹介して下さるんです。
文面に心が入っていたのだと思います。
結果として売上が年間3000万円以上もアップし、
また彼女はお客様により喜んで頂こうと館内に英語での案内を増やしたり、
備品の発注を中国でお願いしたりと、仕事が回り出すんですね。
入社5年で支配人になったのは、彼女の行動力の賜物だと思っています。 
会社というのは素晴らしい社員の方々との出会いから始まると思います。

東京ビジネスホテルとは

新宿にビジネスホテルを構えて今年で38年。
ビジネスや観光でご利用いただくお客様が中心です。
ヨーロッパからのお客様だけで全体の15%。ほんとどリピーターかご紹介の方です。
大浴場もあり、3,980円~泊まれるのが当ホテルの魅力です。
学生さん達も、東京へ旅行の際にはぜひ!

学生へのメッセージ 先ずは行動(チャレンジ)

まずチャレンジそしてフィードバック
何事も経験!「清濁ともに飲み干す」精神であれ!
学生の皆さんには、若い時だからこそ出来る経験が沢山あります。
「清濁ともに飲み干す」という言葉がありますが、
これは汚いからとか綺麗だからとか 言わずに先ずは一度、自分の身体に入れてみる。
飲んでお腹を壊しても その経験は大切で、耐性が出来ることもあるし、
その反省がもっと大きな事態の時の判断に生きてくることもある。
経験がない人はそれまでのことしか出来ない。
これを仕事に例えるなら「良い上司であれ、悪い上司であれ、まずは話を聞いてみる。」 
そこから自分で判断をし行動を起こすことで、自分が成長出来るんです。
頭でっかちで考えているだけでは、経験値が増えることはありません。
ですから、皆さんには、多くのチャレンジをして、フィードバックしたものを身につけて欲しいです。 
フィードバックは経験とイコールです。
経験が自分の感性を磨き、成長を促してくれます。
この感性について、鍛えず悪い人は幾らやっても成長しません。
例えばフォトグラファーとして作品作りに絶対に外せない瞬間があります。
それを逃がしたら次がない!でも感性が無いとその瞬間が分からない、
そして何が良いかも分からないとなります。
ほかにも行動をしてみなければわからないことは、まだまだ沢山あります。
ぜひ多くのことにチャレンジして先ずは感性を磨いて欲しいです。

人生、気付きは大切

気付かない人は損をする。正確には知らないと損をする。
ですが、知る前に気付かなければどうしようもありません。
これは松下幸之助が言った「風がふいても悟る人は悟るわなぁ」と全く同じです。

春先 雪柳にメジロが停まり 大きく枝が揺れる。
なんのことはないこれだけの事ですが、
これを「風もないのに雪柳の枝が大きく垂れ下がった。なにか(どうしたのか)と思ったら、
メジロが停まったのだなぁー。小鳥の命の重さを感じる」
と詩を詠んだ人がいる。
その場にいて同じ風景を見ていた私。
その詩を詠まれて一生忘れない光景になりました。

日頃 見落とし、あるいは忘れていく、瞬間、瞬間の人生。
しかし、しっかりと見つめ深く感じれば本当は感動の連続のように思います。