代表取締役 和田 欣也

株式会社アルセス 代表取締役 和田 欣也

代表取締役 和田 欣也

株式会社アルセス
設立 2009年4月1日
事業内容
  • 広告代理店事業
  • インストア事業
  • 屋外広告事業
会社HP http://www.aluses.co.jp/

色々な企業を経験した学びの時代

はじめは、早稲田大学というブランド力のある大学を出て、大手の会社に入るのが筋だろうと、
特に何も考えていませんでした。たまたま大手から早い段階で、内定を頂いたこともあり、
安易に就職を決めていました。
ところが、就職活動後に「これでいいんだろうか」とよくよく考えて、企業分析、自己分析などを始めたんです。

僕の場合、「起業したい」というより、「実力をつけたい」という事の方が大きかった。
その先に結果として起業になればいいなと思っていました。
「起業したい」という人は多いですが、自分に自信がないとできないことで、口だけの人が多いです。
僕は、内に秘めていて実力をつけてから起業ができればと考えていました。

都市銀行では、ファイナンス・財務の知識の基本を学びました。独学でも相当量の勉強を行いました。
それと同時に大量の事務作業を限られた時間内にこなすというタイムマネジメント能力も磨くことができました。

その後、ご縁があり、みずほ証券に転職しました。
ここでの経験は、今思うと起業するために必要な経験でした。営業が15人ほどの常務直轄の部署で、
上場企業のオーナー社長から株券や現金を預かって資産運用などをする仕事でした。
当時僕は25歳でしたが、相当鍛えられましたね。みずほ証券というブランドを背負ってというより、自分との闘いでした。
当然、上場企業の社長はなかなか会ってはもらえないので、会ってもらえるように様々な工夫をしました。
提携先を探したり、証券取引所へ決算発表会に行ったり、お誕生日に会社に花束を持っていったり、
秘書の所へ何回も通ったこともありました。ここで得たものが大きかったです。
やれば絶対結果を出せる事もわかりました。

さらにベンチャーの社長さんに会って、資産運用や事業提携などしながら、
「実業ってこういうことか」と肌で感じました。ここで起業できるという手応えを持つことが出来ました。

ターニングポイント

証券会社在籍時代は、ベンチャーの上場ラッシュ~新興上場企業の相次ぐ上場廃止という激動の時代でした。
その後、僕の会社では諸事情があり、自分自身進路を決めなければならない過渡期を迎えていました。
その頃、ベンチャー企業数社から声をかけていただいてましたが、
迷った末私は、安定とブランドを選んでしまい、2007年にM&Aのコンサル会社に行きました。
自分より優秀な方がたくさんいらっしゃり、知的好奇心に満たされる一方で、
スピード感やアグレッシブさというところで、正直物足りなさを感じていたんです。

ちょうどその時、みずほ証券の先輩が独立したのをきっかけに、僕も踏ん切りをつけようと考えました。
給料は三分の一になってさらには遊べる時間もなくなるけれど、ここでブランドを出て、勝負しようと。
色んな社長さんから30歳までにこの先の人生決まってしまうよと言われていましたし。
それで先に独立した先輩の会社に参加させてもらうことにしました。
ここでようやく、ブランドとはかけ離れて、広告ベンチャーという全く新しい世界に飛び出しました。
公務員の息子として育って安定志向だった自分が、ブランドに守られた世界から飛び出した。
これは僕の中での転機でした。

広告ベンチャーを2年ばかりやって形にして自信も付いてきました。
一方で、社長との考え方の方向性にギャップが出てきたため、独立を決意。
円満退社の後、今の会社を起業しました。
今では、仕事は当然大変ですが、自分でやったほうが面白いと思っています。
多分いい意味でも悪い意味でも、もう会社員には戻れませんね。

広告業を選んだ理由

純粋に広告がいいなと思った理由は二つ。一つは、「答えがない」ところ。
何をすれば、必ず効果が上がるという答えがない。
携帯電話でも飲料でもいいですが、広告を出稿するお客様のお客様は一般消費者が大半です。
僕が消費者として生きている以上、その視点を持つことで、広告業は絶対できるし、なんでもありだなと。
これは面白いと思いました。一方でお客様は当然に効果を求めてらっしゃいます。
大切なご予算で効果を出さなければいけないという非常に厳しいプレッシャーもありますけどね。

それから、もう一つがB to B to Cのビジネスは「影響力が多大である」ところ。
モラルをもってビジネス展開をしていけば、社会から必要とされ、やりがいのあるところがいいと思っています。

今後、当社は広告業だけで留まるつもりはありません。
広告業でいろいろな業種や業態のお客様とお付き合いしていくなかで、
実際に消費者を当社としてもっと身近で動かしてみたいという思いも芽生えてきています。
新しい付加価値のビジネスモデルが生まれると判断したときは、そちらにも投資していきたいと。
今後はこれまでの成長を鈍化させないために人数を増やして、
僕は現場を徐々に離れられるようにして、舵切りをしていきたいと考えています。

勝ち続けるための工夫

広告業で今は3つのビジネスをやっています。

1つ目は一般的な総合広告代理店業。
マスを含めた媒体仕入れの強化・デザイン力の強化・デジタルサイネージ(電子看板)などの
新しい試みを行っていますが、この「総合」という分野において大手の広告代理店を
凌駕できるとは全く思っていません。
ただ、インターネット広告業界に代表されるように、各専門分野の広告代理店さんがお客様と
直接お取引をしている流れを考えると、この「総合」という分野は、おそらくここ10年後20年後には
かなり縮小していってしまうのではないかと考えています。
しかし、当社としてもお客様のご要望がある限り当然この分野をおろそかにしていくつもりはありません。

2つ目が屋外広告事業。いわゆる看板事業です。この分野に関して弊社は強みを持っています。
大手企業様からベンチャー企業様・個人事業主様に至るまでの各種ご要望に
幅広く対応させていただけると自負しております。自社の媒体も所有しています。
この事業を大きな柱としてさらに強くしていきたいと考えています。

3つ目がインストアメディア。
いわゆる店舗内における音声の広告です。弊社独自の取り組みが強みとなります。

今後は、自社の強みを増やすためにオリジナルメニューを開発していきます。
一方で、ビジネスモデルを展開していく中で、お客様から信頼を得て「これもあれも頼むよ」と
言われるような人材を育てる土壌をつくるのが僕の仕事です。
広告代理店の仕事は人を心地よく動かすこと。お客様・業者様の両者から
信頼を得ていくのが使命だと考えています。

新しいビジネスモデルの種を見つけることについては、いくつか漠然としたものはあります。
でも今は既存事業を全力でチャレンジしていくことを考えています。前述の看板事業の市場規模は
約6000億円と言われています。仮に1%のシェアを取っても60億ですから。
まだまだやれることがたくさんあります。景気がよくなるタイミングを見定めて
新しいものもチャレンジしていきたいですね。

求められる人材観

一番は素直で真摯に努力できる人。素直さがないと絶対伸びないですね。
僕が28歳で起業している経験上、20代前半のほうが色々なものを吸収するスピードが
早いのではないかと感じています。スタンスがあまりにも出来上がっている人は難しいですね。

ここ最近までは、第二新卒が社会人としての最低マナーを把握している点で良いなと考えていましたが、
新卒も積極的に考えていきたいなと思い始めました。
学びながらでもやりたいというスピード感のある人なら歓迎です。

ただ、現状を踏まえると社内の人材がある程度育つであろう1年~2年くらいしてから
新卒の採用という感じになるかもしれませんね。
ただ最近残念なのは、根性のない若い人が多いことですかね。

学生へのエール

厳しいことを言うと、内定を取れる人は取れています。就職難でも自分次第です。
気持ちの持ちようを1ミリずらすだけでも自分は変わるし相手も変わります。
それを変えるのは自分でしかないし、人では決してない。固定の概念を1ミリずらすだけで
人生変わりますよ。自分の考え方次第で向き不向きは絶対ないのですから。

21、22歳の今までを振りかえってするのが就職という岐路ですが、
何をもって失敗かわからないと思っています。大企業に入ったからといって将来幸せかとは限らないし、
名の知れない中小企業に入ったとしても不幸だとは言えない。どんな会社や組織にいても
自分の中の気持ちの持ちようをきちっとコントロール出来る人は最後に勝つんですよ。
それを出来る人になるべく、努力していけばいいんです。

例えるなら、上場を目指す企業と同じです。
上場をゴールにしてしまったがゆえに、上場後に業績が急激に悪化する企業もたくさんありました。
一方で、上場を通過点と考えれば、新興市場で満足することなく東証1部へ指定替えを
行い、当然業績も好調という企業もあります。

要は、就職を一つの通過点だと思えば勝った負けたはないはず。内定がなくても
たまたま自分と合う会社が無かったというふうに考えればいいんです。
自分として何がしたいのかを良く考える必要はありますよ。
ただ、やりたい事とできる事は違いますから、そこの最大公約数を見つけるのが就職活動です。
営業や経理はどこにいってもできますよね。どこにいっても自己実現はできる。
あとは自分のモチベーション、会社の理念や方向性と合致する会社が見つかれば
その人のベストマッチにつながるのだと思います。