代表取締役 樋口 ユミ

株式会社ヒューマン・クオリティー 代表取締役 樋口 ユミ

代表取締役 樋口 ユミ

株式会社ヒューマン・クオリティー
設立 2008年2月
事業内容
  • セクシュアルハラスメント研修
  • パワーハラスメント研修
  • アカデミックハラスメント研修
  • コミュニケーション研修
  • メンタルヘルス研修、メンタルヘルスマネジメント研修
  • 上記に関した外部相談窓口の受諾
  • 上記に関したコンサルテーション
会社HP http://www.human-quality.co.jp/

自分の道は?会社への抵抗感

神奈川出身ですが、父親の仕事の関係で関西へ移り住み、立命館へ進学しました。
学生時代は混声合唱団に入部、百人ほどの規模でした。
対外的なマネージャーとして活動していました。
就職活動は積極的ではなく、利益追求の会社というものに少し抵抗感もありました。
でも公務員なら、人の役に立つし、女性だからと不利益になることはなく
働き続けられるのではないか思い、まずは公務員試験に向けて勉強を始めました。
ただ、それも追いつきそうになく、民間の就活もしぶしぶ始めますが、
それも、いまひとつ結果が出ませんでした。
だから就活期間は長く、周りは春に終わっていたのに、
私は九月頃までかかってしまい、取り残されるような日々を過ごしました。

クラブ活動を通じて、大学の職員は身近な存在で、イベント時など学生部の職員と
密にやりとりがあり、一生懸命働く姿が楽しそうで、もしかしたら、その道があると思い、
そこから学校職員を目指したのです。
その頃には公務員試験の勉強も進み、筆記試験もこなせるようになり、
何より、働く明確な姿を想定できます。
学校の問題点も見え、それを改善したいと意欲をもてる仕事に、
ギリギリのところで出会え、これだという思いから、やっと熱心に取り組みました。

学校職員としてのキャリア

卒業後、そのまま母校の職員として就職します。
通常なら教員が役職を務めますが、
当時の立命館は職員出身のトップで、かなり珍しいケースでした。
入試改革など、いわゆる営業活動や教育改革へ取り組むようになります。
就職して当初はのんびりしていたのですが、三年目くらいから急変しました。
私は図書館へ配属されました。ただ、利用者は僅かでした。
もっとやれることがあるのではないかという思いで、小さいことから改善し、
ちょうど仕事におもしろさを感じ始めた頃に、大学時代も変わり始め、
そこからは忙しい日々を送ります。

図書館は就活に役立つ資料がたくさんありますから、
それをもっと利用しようというイベントもやり、それをきっかけに
就職部へ異動になります。
就職部では仕事の必要性から、キャリアカウンセラーの資格も取得しました。
多くの学生の就職相談を受け、就職部で七年くらい働きました。
新しいことを考えたり推進したりすることが好きだということに気づいたのが
この頃です。
新しい企画も行い、やりがいを感じていました。
ただ大きな組織の中で、なかなか思いが繋がらないことも多く、
もう少し自由にやりたい、という考えも出てきました。

転職から、独立

その頃、家族が神奈川に住んでいて、実家へ戻ります。
就職部での延長線から、教育研修会社へ転職し、六年ほど働きます。
小規模な会社で何でも自分でやらないといけなかったのですので、
今度は自分でやってみたいという思いが出てきました。
また社会の中で、ハラスメントの問題のニーズがあるのを強く感じました。
就職部のときに、女子学生のキャリアフォーラムを企画をしていて、
多くの女性のキャリアに触れる中で、独立して生きる、そういう生き方も
あることを知り、自立してやりたい、という思いもありました。
今でも社会の中の女性の立場や女性問題については関心を持ち続けています。
まずはやってみようと、独立することを決めました。

2008年2月に立ち上げ、一人なのですべてを自分でやるしかありませんが、
一年目はそれほど忙しくもなく、まずは広告を出し、
会社を知ってもらうことに専念します。
定期的に人事向けの無料セミナーを開催する告知がネット検索に
ヒットするよう試行錯誤しました。
セミナー参加者で希望があれば、人事へ案内に伺いますが、
ただ、このテーマはあまり強制的に売り込んも効果はなく、
会社や特に担当者が自ら本当に問題意識を持ってやりたいと思わなければ
意味がないのです。
だから担当者の方から、質問や相談に来られた方のみにアプローチします。
こちらから積極的に動くより、発信した情報が必要な方に来てもらう
スタイルは一貫します。いかにHPで伝えるか、なるべくそこへ注力しています。
私の性格も反映しているかもしれませんね。

ただ世の中の移り変わりは早く、創業時は同じことをやるところが
ほとんどありませんでしたが、急増していますし、違う業態や
異業種からの参入も多くさらに勉強を重ねて、常に内容を高めていく
必要があります。

就活当時は会社へ抵抗感があったのですが、
自分でやってみると本当に面白いです。

ハラスメント防止の仕事がいつか不要になること

クライアントはすべて会社などの法人です。
いろいろな会社とハラスメント防止に関わるコンサルティング契約や
ハラスメント外部相談窓口契約を結んでいます。
これまで様々なケースに関わってきました。
ガイドラインづくりから研修、相談対応までハラスメント防止に
関わることはあらゆることを行っています。
そこが他社との、大きな違いかもしれません。

ハラスメントまでいかないような人間関係のトラブルの案件もあります。
昔でしたら職場の中で解決したことでしょうが、
仲裁する機能が弱くなっているのかもしれません。

現在は、弁護士と、ドクターをスーパーバイザーに置き、
弁護士にはハラスメント事案の解決法について相談し、
精神科医には当事者の精神状態や、どこからが医療機関の版中かなど
助言をもらっています。
私自身は、あくまでも経験値の積み重ねなので、更にそれぞれの専門家の
協力を得て成り立つと考えています。
被害者、相手方、それぞれの人権を大切にしなければならないわけですから、
より慎重さが求められます。

今後は、さらに経験値を増やしていくことや、
例えばハラスメント防止ツールも増やしていくことが引き続きの課題です。
将来的には、ハラスメント防止の仕事が不要になって、どこの職場も
働きやすくなることが一番の理想です。
その為の一歩として、なぜ人がハラスメント行為それを行うのか、
また、それを受けてしまうのか、もう少し掘り下げて、
当事者が、自分の在り方を変えていけるようなトレーニングやツールを
作りたいと考えます。
ハラスメント防止の仕事に注力をしている理由は、根底には
女性支援という思いがあります。
女性のキャリア支援などをやりたいのですが、ただ他でもいろんな方が
やられていますから、もう少し余裕ができたら、その分野もやりたい希望は
あります。いつでも人の役に立つ仕事はしていきたいと思っています。

経験からのアドバイス

震災の影響もあり、元気を出せといっても難しいかもしれません。
ハラスメントの相談も、相談を受けたときに心がけていることは、
ショックから回復するのを待つ、気持ちが切り換えられるのを待つ、
それをサポートしています。
例えばダメージを受けた人が引きこもることもありますが、
それもとても大切で、次への準備期間と捉えています。
苦しんだ末に、自分なりの道をつけられるものです。
時には大人に迷惑をかけてしまうこともあるでしょうが、
もがいてみたり、時には待っていたらいいと思います。
どこかで浮上のタイミングはあります。
多くの学生を見てきましたが、やがて何らかに決まるものです。

そして大手志向が強過ぎるので、会社にこだわらないことです。
私は正社員に採用されることが重要で、自分をハラスメントから
守るという意味でも大きいと思います。
非常勤社員の人などが被害を受けていても、身分が不安定だから、
とても相手に言い返せないと悩んでいるケースに多く関わりました。
契約形態の違いは、現在の日本では残念ですがマイナスに作用することが多いです。
学生の皆さんには、やはり正社員を目指してほしいと思います。
それから自分の好きなものに、こだわりすぎない方がいいと思います。
好きなものに関ることと、やりたい仕事や向いている仕事は違ったりします。
もし好きなものを選ぶのなら、そのデメリットをきちんと考えましょう。
逆にこだわらないで、この人と働きたいと思える職場を選んだり、
職場の雰囲気が気に入った、でいいと思うのです。

ただ、それに気づくのは、中堅の優良な企業がクローズする頃なので
そこから就職課へ駆け込むことは、毎年のことですが普遍のようです。
それに早く気づいて、中堅の企業を早めに回る方がずっと賢明でしょう。
大手企業に決まる人の多くは、学部の成績上位者で、かつ人間的成長を
早く遂げている人です。
大学名ではなく、成績や人間的なバランスも含め、そこは冷静に自分自身を
判断することが必要です。
社員の人たちを見て、自分とのギャップはどれくらいあるのか、
そこを気づくことができると、早く転換することへ繋げられます。

ただ、人間的成長を自分が遂げていないのでは?と落ち込む必要はありません。
その人たちは、成長が止まる可能性もあるわけですし、逆にこれからの人は、
いくらでも伸びていきますし、面白みがある人だといえます。
そして大手に入社したから、幸せを確約された訳でもないのが人生ですよ。