代表取締役社長 小林 美津良

株式会社トップオカモト 代表取締役社長 小林 美津良

代表取締役社長 小林 美津良

株式会社トップオカモト
設立 1912年4月10日
事業内容
  • パッケージディスプレイ商品関連販売・プランニング
  • 時計関連商品販売・プランニング
  • 機械工具関連商品販売・プランニング
会社HP http://www.top-okamoto.co.jp/

従業員を守る為に社長になることを決めた

常務取締役だった57歳の私が、MBO(マネジメントバイアウト:経営陣買収)という形式で
会社をM&Aから守ることを決めたのは、この会社に対する思いが強かったからです。

当時この会社は創業100年を目前に控えており、次の100年に向けて
再スタートを切ろうとしていた矢先でした。
これまで存在していなかった企業理念を、私が音頭を取って
社員とチームを組んで話し合いで決めて、発表セレモニーまで行ったすぐ後に
M&Aの話が持ち上がったのです。

私は20年前36歳でこの会社に入社して、10年近く前に役員になり
「この会社をもっと素晴らしい会社にしよう」と社員に言い続けてきました。
その自分が、M&Aで買収されて今いる従業員の半分が解雇されてしまうかもしれないという
大変な危機の時に、会社を見捨てるということは最初から選択肢としてありませんでした。

しかし、迷いもありました。
中小企業の社長をやるということは、もし何かあったらすべてを失うということですから。
それでも、何かあったらゼロからまたやればいいという妻の後押しもあり、腹は決まりました。
あとは、とにもかくにもみんなと一緒にこの会社を再スタートさせようという思いだけでした。

数回の転職を経て、今の会社に

36歳で今の会社に入社するまでは、転職を繰り返していました。
入った時には年齢も年齢だったので、出世は無理ですからあきらめていたんです。
それでも人より遅れを取っている分、なんとか仕事で実績を出さなければと思っていました。

その為には人より多く働かないと無理だと思い、必死で働きました。
運よくなんでもやらせてもらえる会社ではあったので
入社して2年位経ってから、会社に様々な提案をしました。
「あれをやったらいいなじゃないか」というようなことをたくさん言っては、実行しました。

会社で変えていかなければいけない部分はたくさんあると感じていました。
創業から長い会社ですから、長い間決まってしまっていたことを当たり前と捉えてしまうところがあったんです。
それでも、会社をよりよくしていきたいと思っていましたから、根気よくやり続けました。
自分の提案に説得力を持たせる為にも、仕事で結果を出すということは大前提に考えていましたね。
自分の仕事もろくにできないのに会社に提案なんて10年早いと言われてしまいますから。

エゴを捨てた経営が会社を存続させる

これはなかなか信じてもらうことが難しいかもしれませんが、
会社をよくしたいといろいろやり始めた時点で、自分のエゴというものはありませんでした。
これをやったら会社が助かる・良くなる、社員が喜ぶ・働きやすくなる、
そのことがとても嬉しいという気持ちが圧倒的に強かった。
これがなんとか実績を出すことで自分の点数を上げて、
役職を上げたり給料を上げたりという気持ちが強かったら
ほとんど失敗していたと思います。

再スタートを切ってから、経営企画会議を最低半年に1回は開くということを決めたんですが
その場でも、社長である私に言いづらいことでもぶつけてきて下さいと言っています。
場合によっては私が吊るし上げになってしまうこともある。
でもそれができなければ、この会社はこの先存続していけないと思いました。
自分のエゴが強かったら、そういったことはできないと思います。

私がいなくなった後も、社員が社長に堂々と意見を言えるような会社のDNAを
今は刻む仕事をしていると思っています。
どういう業界でやっていって会社の規模はどれくらいで、というようなことは
私にとっては枝葉にある問題で、会社の一番根っこにある部分をまずはしっかりしていかないと
30年後50年後に新時代が来ても通用する会社は残せないと思うんですよ。

人財が強み

会社の強みは、この業界の中でも社員の質がいいということです。
これは同業者の方からもよく言っていただくことなんですよ。
仕事の進め方から始まって、若々しいですとかはきはきしているですとか
総合的に見て、いい方が多いですねと言っていただいてます。

ですから、この先もっとその質を良くしていきたいと思っています。
社員全員が人財だと思っていますから。
その状態を維持できれば、これから入ってくる若い社員も同じような人財になっていけるのではないかと
そう思っています。

勇気と情熱は能力を超える

それが私の座右の銘です。
勇気がなければいくら自分の意見があっても言えません。
情熱がなければ物事を継続・持続することはできません。
逆に言えば、勇気と情熱があればある程度のところまでは達成できると思います。

学生のみなさんには「あきらめるな」という言葉を送りたいと思います。
何事も続けていかなければ幸せや結果はつかめません。
できるまでやる、ということが大切だと思います。