代表取締役社長 若勢 敏美

株式会社 海事プレス社 代表取締役社長 若勢 敏美

代表取締役社長 若勢 敏美

株式会社 海事プレス社
設立 1956年6月
事業内容
  • 海運・造船・航空貨物・国際物流関連業界を対象にした報道・出版、および関連事業
会社HP

専門性の強さを生かした事業展開へ

海事プレス社は、1956年に設立され、海運・造船の日刊紙(現・海事プレス)を創刊。
現在は廃刊になってしまったものもありますが、当時は多数の業界紙が生まれました。
私は大学時代からメディア志望でしたが、海事プレス社へは中途入社。
先輩に誘われ、たまたま入ったような感覚でしたが、
仕事を始めてみるとこれが大変面白かった。

入社して間もない1980年代後半は、造船産業は大不況。
倒産した造船会社も50社近かったと思います。
そのように業界が大きく変化する中で、取材し夜中まで原稿を書き、
自分の思うところを書き切れた感がありました。
また、業界をさきがけて韓国の造船業を取材したことも大きかった。
自分の取材したものが周囲に注目され、評価されたという思いがあります。

現在は記者ではありませんが、海運・造船の記者としての仕事がなぜ楽しいかと問われれば、
国際ビジネスだから、と言えるかも知れません。
造船・海運だけでなく、時代の流れに合わせて「クルーズ」を創刊したのが平成元年。
ちょうど世の中で「クルーズ元年」と呼ばれた時代です。
「海事プレス」「CARGO」はBtoBですが、「クルーズ」はBtoC。
マニア向けと言われるかも知れませんが、趣味の雑誌として安定している雑誌です。
業界紙、「クルーズ」や単行本制作の他、船旅関連のTV番組制作協力などのメディア対応、
業界紙制作の会社としては珍しいのですが、企業のPR誌制作といったPRソリューションも。
社内に複数のグラフィックデザイナーがいるので、そうした事業も可能です。

社長としては3年目。
それまで以上に責任の重さを感じる毎日ですが、
専門性に強いという特性を生かしてこのような事業展開をしています。

今後のビジョン

国内向けの業界紙とは言っても、自社の場合は取材相手が海外にいることが多い。
現在は社員が出張する形をとっていますが、
いずれは海外支社または拠点を構えて社員を常駐させても良いのでは、と考えています。
いずれにしても、今後は中国や韓国、その先の海外に目を向けた仕事になっていくでしょう。
若い世代が海外転勤を嫌う傾向にあるようですが、
自社にはそれを面白いと考えられる人に来てもらいたい。
数年来、中途採用を行っていますが、新人でも例外なく海外出張に行きます。
メディアの電子化については、「CARGO」のネット強化に力を入れていますが、
一般読者向けではないので、まだ新聞の方が強い状況です。
情報は、物販と違い商品である「情報」の取り扱いが難しいので、
パスワードの流用をさせないシステム導入を検討中です。

人材観

海や飛行機のマニアが多いように思われがちですが、
自社の社員はメディア志望で入ってきた人が多いです。

適性としては、まず取材したことを文章に表現できるか。
また、国際ビジネスなので英語力は必須。
TOEICで言うと700〜900台。そして、人に好かれなければ記者は務まらない。
基本的に取材するのは業界・企業のトップなので、
その方たちと話せるだけの気配り・知識・もの怖じしない性格も必要でしょう。

取材相手が業界の細かな機微を求めてくることもあるので、
長くやっていないと書けないこともありますが、
他と同じことを書いてもつまらない。失敗を恐れずに書きに行く記者になってもらいたい。
記者は、彼ら自体がものを生み出す装置のようなもの。
自社の仕事内容に誇りを持ち、信念を持って動いて欲しい。
一見そう見えるものでも、視野を変えてみれば違ったものが見えてくるかも知れない。
一定の専門性を持つ業界の特殊性を楽しんで仕事をして欲しいですね。

学生へメッセージ

先にも述べましたが、自社は海や飛行機が好きな人を求めているのではなく、
それらは仕事をして行くなかで好きになってもらえれば良いと思っています。
大手の新聞社・出版社に落ちた人でも、高い志を持っていれば構わない。
メディア志望の人は、自分のプリンシプルを持って、
志を捨てずに、業界紙の門を叩いてみてはどうでしょう。
ネットで調べて、募集を見つけたら、会社訪問してみる。
会社訪問するだけではなく、チャンスと思って自分を売り込みに行っても良いと思いますよ。