代表取締役社長 矢野 耕平

株式会社スタジオキャンパス 代表取締役社長 矢野 耕平

代表取締役社長 矢野 耕平

株式会社スタジオキャンパス
設立 2007年6月
事業内容
  • 小学生を対象にした学習塾の経営
会社HP http://www.studio-campus.com/

塾講師のアルバイトに夢中になった学生時代

大学生の時、大手進学塾でアルバイトを始めました。
一生に一度くらい、「先生」と呼ばれてみるのも面白そうだという
軽い気持ちだったのですが、どんどんのめりこんでいきましたね。
子どもの反応はとても純粋。「授業が分かりにくい」と言われて
自己嫌悪に陥ったりもしました。
より分かりやすく子どもたちが成績を伸ばせる授業を目指して、
ベテランの先生方を相手に自主的に模擬授業を行い、
時には厳しいことばもかけられました。
ベテランの先生方には本当にかわいがってもらい
飲みに連れて行ってもらうこともありました。

そんな中で教育に関する価値観が徐々に芽生え、将来の進路は
この業界以外考えられないようになっていましたね。
それで、数年間アルバイト講師として働き、そのまま正社員に。

正社員になって3年目の時に初めて管理職を任されました。
新しく開校する校舎のトップに抜擢されたのです。
グループの中でも核となる重要なポジションを担う校舎でした。
講師陣も業界内で力量のある、言い方を変えればアクの強い海千山千の面々。
そのような中、私は最年少。

大変でしたがこの時の経験から学んだことは沢山ありましたね。
年上の人と付き合うにしても、年齢は関係ない、遠慮はいらない。
トップに立つのであれば、自分のビジョンをしっかり持って、それに向けて邁進すること。
その時人前で弱音を吐いてはいけない。そして、ぶれない芯を持つこと。
これらのことを、経験を通じて体得しました。
ま、なかなか完璧に、とはいきませんでしたが。

起業へのモチベーション―理想の塾を作りたい

大手の塾にはもちろん良いところも沢山あります。
しかし、どうしても優秀な子に恵まれた環境が集中してしまったり、
アルバイト講師の回転が早いため、その度に子どもたちを混乱させて
しまったりといった問題点もあります。

骨を埋める覚悟で働いていましたが、大手の塾に勤めている中での限界を感じました。
その時の環境では、自分の理想とする教育は難しかったのです。

「理想の塾を作りたい!」と言うのが、私が起業した一番の理由です。
それは、すべての子どもたちに充実した授業を提供する為の少人数制の導入と、
全員正社員で構成される塾、なおかつ最高のベテラン講師陣をそろえることでした。

また一方で、社長として、社員にとってもよい就業環境を整えることも大切だと考えています。
有給の積極的な消化を推奨していますし、サービス残業をなくす為に
様々な手当を設けています。
会社は社長のものではなく、社員とその家族のものです。
一丸となってよいものを作っていこう理念が伝われば、
困ったときには全員で団結して難局をも乗り切れるはずです。

もちろんこれらの理想を希求するがゆえに、妥協しなければならないこともあります。
他の塾と比較するとひとり当たりの月謝の単科は高めに設定せざるを得ませんでした。
そして、起業したのは進学塾激戦区の自由が丘。
乱暴な言い方ですが、この地で弊社が確かなブランドを根付かせることができ、
業績を伸ばせれば、あとはどこに進出しても大丈夫でしょう。

起業する際、石橋を叩いて渡るように、決して背伸びをせず、
自分に始められるところから始めることも必要です。
初めの一年間は4LDKの一軒家で、起業メンバー4人で運営していました。
その時の塾生数が60人くらいで、誰か一人でも倒れたら運営していけない
リスキーな状態。
そこで2年目に社員を9人に増やしました。
それだけのスタッフが揃えば、規模の拡大、テナント移転が要請されます。
そして、いまの場所に弊社を移しました。

私ははじめから大きなテナントを借りることはしませんでした。
今も、軌道に乗っているからといって闇雲に手を広げようとは考えていません。
何事であっても機が熟せば会社の微調整が求められる、
たとえば、規模を少しずつ拡大するとか――そんな状況が自然と生まれます。
状況を決して過信せず、身の丈に合った経営をしていくことを心掛けています。

仕事を通して社会にコミットしていく

今は4年目で、塾生数も増え、だんだんとブランドが市場に
浸透してきていると感じています。
今後も、現状に満足せず、もっともっとよい塾に、
業界で異彩を放つ存在にゆるやかに成長したいと望んでいます。

子どもたちは、塾を利用する存在です。
そして私たちが考えているよりもずっとたくましいんですよ。
私たちは、子どもの自主性を持って、前向きに取り組む姿勢を引き出すために
工夫を凝らしています。
中学受験を通して得た達成感や身につけた問題解決能力が、
子どもの成長のみならず、社会的な人材の育成につながると考えています。

つまり、中学受験のことだけを決して語りたくはない。
この仕事を通じて社会にコミットしていく姿勢を忘れないようにしたいと決意しています。
中学受験というのは極めて小さな世界です。
しかし、大切なのはその小さな世界を通じてどう世界を見ていくのか、
換言すれば、自分たちの社会的使命がどこにあるのかを熟考しつつ
日々の業務に努めています。
これから起業をお考えの方には、自身の果たすべき役割や使命は一体なんなのか、
自分はどんなふうに社会貢献していけばよいのか、
軸となる価値観をしっかり持ってください。

座右の銘は『きっとうまくいく!』

今の日本で、野垂れ死ぬことはなかなか考えられません。
何があっても力みすぎず「きっとうまくいく!」と前向きに考えています。

アルバイトは社会見学

学生の間は、色々のアルバイトを経験して視野を広げるべきだと思います。

目標をあれこれ思い描いても、実際にやってみると上手くはいかないものです。
社会にある様々な仕事にとりあえず挑戦してみること、飛び込んで一生懸命になってみてください。

また、社会を渡っていく上で肝要なのは、人と人との付き合い。これに尽きます。
人間関係をうまく構築できる人であれば、職をなくすことはないでしょう。
意外なことかも知れませんが、思いやりを持って相手に接することや、助け合いを忘れない、
この当たり前に思える所作こそ社会におけるラジカルなふるまいです。

そのためにはまず人を好きになること。
年上も年下も、色々な人と会って色々な話を聞くべきだと思います。

学生へのメッセージ『会社に依存するような姿勢では駄目』

雇ってもらおうと思って、就職活動するべきではありません。

この時代、どこの会社に入っても絶対安泰なんてことはない。
会社がなんとかしてくれるのではなく、
自分で社会を切り拓いていかなくてはいけない時代です。
だからこそ、自分の考えや理念を、採用担当の方にしっかりと伝えることをすべきです。

あとは、お金に惑わされないことですね。
起業するにしても、私利私欲を追求するべきではないというのが私の考えです。
お金は、汗水流して社会にコミットしてはじめて得られるかけがえのないものです。
汗水流さず安易に入手したお金など、泡沫のごとく消えてなくなってしまう。
社会ってそういうものなんだと考えています。