取締役社長 関根 千恵

ロハスコスメ株式会社 取締役社長 関根 千恵

取締役社長 関根 千恵

ロハスコスメ株式会社
設立 2008年6月
事業内容
  • 化粧品の輸入、輸出、国内販売
会社HP http://www.lohas-cosme.com/

SEからコスメ業界への大転身

大学の数学科を卒業し、初めは大手電機会社にシステムエンジニアとして就職しました。
当時から美容マニアで、いろいろな化粧品を使っていたのですが、
入社して1〜2年頃、仕事のストレスが原因で顔と首に大量の吹き出物が。
化粧品で治そうと100種類以上を試してみたのですが、一向に治りません。
途方に暮れていた時、たまたま手に取ったのが、
当時はまだマイナーだったオーガニックコスメでした。
さっそく使ってみたところ、
見事に改善したどころか、以前よりも肌の調子が良くなったのです。
すっかりオーガニックコスメに魅了され、
ついにはその化粧品を扱っていた会社に転職してしまいました。

化粧品を扱うことが好きだったので、まずインストラクターになりました。
お客様に説明したり、セミナーを開講したり、フェイシャルエステを指導するなどして、
3年間楽しく働きました。
でも、なかなか売れなかったのです。
良いものなのになぜ売れないのか。
売れるようにするためにはどうしたらいいのか。
もっと化粧品業界の全体を見なければ答えは出ないと考え、
化粧品のOEMをしている会社に転職しました。

そこで化粧品の企画をするうちに、
自分が良いと思った化粧品と、消費者が良いと思う化粧品、
つまり企業から見て売れる化粧品は同じではない、ということに気付きました。
今考えてみれば当たり前のことなのですが、当時の私には「目からウロコ」でした。
化粧品の効果や使い勝手が良いことはもちろんのことですが、
それと同時に、販売促進の方法やパッケージ、キャッチコピーなど、
いかにして商品の魅力をきちんと伝えられるかが、
売上を何倍も左右してしまうことを肌で感じました。

自分の“本当に好きなもの”を売ることができる喜び

その会社では、多くのことを学びながら充実した3年間を過ごしました。

しかし、そんなある日、株式会社グッドホープ総研から、
私の大好きな自然化粧品を扱うので来ないかと声をかけてもらったのです。
思い切って転職し、
さらにその後、当時お手伝いをしていたロハスコスメ株式会社に引き抜かれ、
翌2008年に社長に就任しました。

グッドホープ総研時代から現在まで、忙しいけれど、とても楽しく仕事をしています。
心から信じられる、本当に好きなものを売ることができるようになったのですから。

社長に就任してから

取扱商品への思いは変わっていませんが、選定にはかなりの時間を割くようになりました。
日本市場を調べ競合品やその販路を研究する事も、
以前は自分の勘を頼りにする傾向が強くありましたが、
社長に就任して責任が大きくなった分、今は慎重さが増しました。
ただ結局は一番頼りになるのは自分の勘なのです。

もうひとつ、社長になってから特に気をつけていることは、企業間での信頼関係です。
特にオーガニック化粧品を扱う上では、単なる買い手・売り手の関係だけではなく、
その製品や原料を尊重し合う気持ちが強い分、
一種の「仲間」としてお互いを見るようになります。
ですからビジネス上はもちろんのこと、
人間として、しっかりしとした人間関係を結ぶように心がけています。

オーガニックコスメの魅力を広めたい

今、オーガニックコスメはブームで、さらに人気は高まっていくと思います。
しかし、例えブームが去ったとしても、
オーガニックコスメに理解があるお客様をどれだけ残せるかが私の課題です。
意外かもしれませんが、
オーガニックコスメの特色を「優しい」と思っているのは日本だけで、
欧米では「力強いもの」と思われています。
通常栽培の野菜よりオーガニック栽培の野菜の方が、
味、香り、栄養価の面で一般的に優れているように、
オーガニックコスメもまた、力強くて、効果もしっかりあり、
肌が本来持っている機能を取り戻してくれるものと認識されています。

私自身も魅了されたオーガニックコスメの素晴らしさを、
もっと多くの方にお伝えしたいという願いから、ロハスコスメの社長に就任しました。
もちろん、経営者として売上を伸ばすことも大切だと思っていますが、それ以上に、
オーガニックコスメの恩恵を1人でも多くの方々と分かち合いたいと思っています。

そのためにも、今は9割が卸売業ですが、近い将来にはショップを持ちたいですね。
まずは直営店、そして同じ考えのフランチャイズ店を増やし、
気が付いたら日本中にオーガニックコスメが広がっていたらいいなと思っています。

人気が高まるということは、ライバルが増えるということ。
世の中の目が向いている今が頑張り時です。

「今より良くなろうとしなければ、今より悪くなるばかり」

これは以前お世話になった、
ドイツエステの草分けであり経営者である先生から頂いた、私の大好きな言葉です。

美容でも仕事でも、何事も向上しようとしなければ悪くなるだけです。
「このままでいい」と思うことは、「今より悪くなってしまう」ということ。
だから、常に努力しながら、好きなことを追い続けていきたいと思っています。

一緒に働きたい人 3つの条件

まず一つめは、何かの能力に長けていること。
販売力がだれよりも優れているとか、語学が堪能であるとか、
何でもいいので、何かの能力に秀でていることが必要です。

二つめは、人柄、特に協調性があること。
仕事はチームワークが大切ですので、協調性がなければ難しいです。
サッカーや野球のようなスポーツと同じで、自分のポジションを守りながら、
うまく連携を取ることで、はじめて素晴らしい仕事が成し遂げられるのです。

三つめは、自分の仕事に楽しみを見出せること。
能力と人柄という2つのポイントを押さえれば、かなり良い仕事ができると思いますが、
それに加えて仕事を楽しめることができれば最高です。
楽しんで仕事をしている人間は目の輝きが違います。
より良い仕事ができる上、一緒に働いている仲間たちの意識を高め、
明るい職場をつくることができますよね。

自分を客観的に評価しよう

好きなことでも自分に全く向いてないこともあります。
かといって、向いていても嫌なことをするのは、
長い人生の中で大変なストレスになってしまいます。
自分は何が好きで、何が得意で、何が強みなのか。
そして自分にできることは何なのか。
自分自身を客観的に評価することは難しいですが、
それができれば、自分にとって生きがいに感じられる仕事を見つけ、
より良い人生を歩めるのではないでしょうか。

私は、あまり深く考えずに就職してしまいました。
私が通っていた大学では、数学科といえば数学教師かSEになるのが一般的だったので、
自分の中でそのどちらかと決めつけてしまったんですね。
そして、「コンピューターはこれからの時代に必要だし、やっておいて損はないかな」と
思いSEを選びました。
SEという仕事に大きなストレスを感じていた訳ではないのですが、残業も多く、
同じ時間を費やすのであれば、一度きりの人生をもっと有意義なものにするために、
もっと夢中になれる仕事をしなければならないと思い転職をしました。
私の場合は、途中で気がつくことができて良かったと思っていますが、
もしこれから仕事を選ぶ方にアドバイスをするとしたら、
自分自身の能力と好きなことを客観的に分析して、
良い仕事を見つけてほしいと思います。

ちなみに、今の私の強みは「オーガニックコスメビジネスのエキスパート」ということです。
販売員から、薬事業務、インストラクター、マーケティング、企画、広報、マネージングと、
一通りの仕事を経験することができたおかげで、
この業界に精通することができたと自負しています。
あの時、もう少し自分の好きなものや強みを分析していたら、
また違った人生だったかなと思います。